ムスリムの訪日外国人観光客急増による要因で、インバウンド需要が年々拡大している日本のハラル市場。さらに、2020年に開催される予定の東京五輪に向け、イスラム教徒のアスリートや関係者、観光客のニーズに対応するためのハラル製品に注目が集まっている。本特集では、近年訪日ムスリム外国人観光客の増加や東京五輪などの国際イベントを機に、拡大が期待される日本のハラル市場を紹介する。
■増加するムスリム訪日外国人観光客
日本におけるハラル市場が近年、訪日ムスリム訪日外国人観光客の増加と伴に、盛り上がりを見せている。日本政府観光局は、2018年の訪日外客数は、前年比8.7%増の3,119万2,000人となり、同局が統計を取り始めた1964年以降、最多となった。2018年の訪日外国人旅行者数は、マレーシアからは前年比4.5%増の約46万人、インドネシアからは前年比3.1%増の約40万人となり、ムスリムの多い東南アジアの国からの訪日旅行者数の増加が顕著に。
マスターカード・クレセントレーティングが調査した「グローバルムスリムトラベル指数(GMTI)2019」によると、イスラム協力機構(OIC)非加盟国における、ムスリムフレンドリーな観光地として、1位シンガポール、2 位のタイに続き、日本は昨年4 位から3 位となった。また「Global Muslim Travel Index 2019」では、日本のハラル市場は2012年の479億円から、2016年には806億円まで上昇。来年2020年には1,148億円にも達する見込みだ。
■期待される、ハラルインバウンド需要
健食業界の動向を見ると、ハラル認証サポートを展開しているアジアハラール協会は、食品を中心に、健康食品やサプリメントに関する問い合わせも増加傾向にあるという。さらに、近年訪日外国人観光客急増による要因で、インバウンド需要も年々拡大していると話す。ムスリム訪日外国人観光客の大半を占める、マレーシア、インドネシアに向けた、インバウンドには、ハラル認証取得が成功の鍵となると語った。
マレーシア貿易開発公社のNiqman氏は、1970年代にマレーシアで始まったハラル認証は、現在ビジネスと上手く融合しながら発展し、宗教よりもビジネスの側面を持ちながら拡大していると話す。さらにマレーシアを含むアジア地域では、所得水準の向上や、健康志向の高まりを背景に、健康食品やサプリメントの需要も拡大しているという。日本の食品は、メイド・イン・ジャパンとして世界の信頼を得ている。高価でも「安全」、「高品質」なイメージを持つ日本の健康食品は、ハラル認証と組み合わせることで、インバウンドビジネスの拡大が期待されると語った。
実際、本紙が6 月に健康受託メーカーを対象に行ったアンケートでもハラル導入済み企業が前年比10%増加。導入予定を検討している企業が前年比16%増加という結果に。健康食品産業における、ハラル市場の成長を裏付けている。
本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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