フィットネスクラブ市場の拡大が止まらない。(公財)日本生産性本部が8月に発表した「2019レジャー白書」によると、2018年のフィットネスクラブ市場は4,800億円(前年比4.1%増)となり、過去最高を更新。近年のフィットネス市場は多様化が進んでおり、台頭する新興企業と迎え撃つ老舗クラブとの競争も相乗効果となって市場拡大が続いている。約3兆円と言われる米国市場に対し、国内市場も「半分のポテンシャルはある」との声が聞かれる。群雄割拠のフィットネス市場を探った。
レジャー白書の調査では、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなど余暇をスポーツに充てる人は年々増加傾向にある。フィットネスクラブの利用者も同様で、2018年の国内フィットネスクラブ市場は4,800億円と、過去最高を更新。2012年以降、7 年連続での成長となる。国民の健康志向の高まりを背景に、老若男女様々な層がフィットネスクラブを利用する中、フィットネス市場には近年、多様化の波が押し寄せている。
なかでも「マシンジム」「プール」「スタジオ」の3種の神器を備えた旧来の大型クラブというよりも、パーソナルトレーニングやヨガ、ピラティス、ストレッチなど、専門店化した小規模クラブの出店が増えつつある。これら新興勢力では、パーソナルトレーニングに特化し、有名芸能人が劇的に痩せるテレビCMで、2018年の売上高ランキングで業界5 位につけるRIZAPや、女性限定のサーキットトレーニングで急成長を遂げ、国内約2,000店舗に到達、業界6位のカーブスなどが代表格だ。
ほかにも、急速に店舗数を拡大する24時間フィットネス「エニタイムフィットネス」は今年3 月、国内500店舗に到達した。ホットヨガを提供する「LAVA」も約420店舗を展開。100店舗以上を展開する小規模クラブは年々増加している。
レジャー白書ではさらに、2018年の傾向として、新タイプのコンセプチュアルな“ブティックスタジオ”と称し、米国フロリダ発祥の「オレンジセオリー」や暗闇バイクフィットネス「FEELCYCLE」、低酸素環境下で高地トレーニングを提供する「ハイアルチ」、サーフエクササイズで知られる「Surf Fit」―― など、小規模かつ目的志向業態の出店が相次いでいる点を紹介、今後の動向に注目されるとしている。
一方、追われる立場にある業界4強(コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ルネサンス、ティップネス)でも、24時間フィットネスや暗闇フィットネスなど新業態の小型店舗の経営に乗り出すなど、対抗措置で迎え撃っており、老舗クラブと新興勢力との競争は今後ますます熾烈を極めることが予想される。
スポーツ大国である米国のフィットネス市場が約3 兆円と言われる中、国内のフィットネス市場のポテンシャルを「米国市場の半分」とするクラブ経営者も。年齢・性別・目的別…など、多様化するニーズを上手く捕え、国内フィットネス市場がどこまで成長できるのか、業界勢力図の変化は…? 群雄割拠のフィットネス市場から目が離せない。
本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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