食品の高付加価値化を推進する北海道。「機能性食品・化粧品」が中心の道内バイオ産業は600億円市場を誇る。運用6年目になる北海道独自の食品機能性表示制度「ヘルシーDo」は、産官学がスクラムを組み、豊富な天然資源を利用した機能性素材の研究、商品開発が実を結び、累計認定品は115品目(61社)になった。一般食品型からサプリメント型まで商品形態の幅が広がり、流通・小売業界の反応も変わってきた。累計売上高は120億円を超え、一定の成果につながっている。また、“北海道ブランド+健康機能”を差別化に、新たな道産素材も続々登場。国内のみならず、海外からも注目されている。
■北海道、バイオ産業の振興を推進
「機能性食品・化粧品」が牽引する道内バイオ産業は600億円台の市場規模に成長した。北海道ブランドに加え、産官学連携による「健康機能」のエビデンスデータの蓄積が進み、近年は海外でも高い評価を得ている。北海道バイオ工業会・小砂憲一会長は「北海道の新産業として1,000億円市場を目指したい」と話す。平成25年4月にスタートした北海道独自の食品機能性表示制度「ヘルシーDo」も累計認定商品が115品(61社)に到達した。
「ヘルシーDo」は、健康食品等に含まれている機能性成分に関して「健康でいられる体づくりに関する科学的な研究」が行われた事実を北海道が認定する制度。認定商品の増加に伴い、商品形態もサプリメント、飲料、ヨーグルト、スープ、チョコ、アイスなどバラエティに富んでいる。新たな機能性素材では、ガゴメ食物繊維、エイ由来コンドロイチン硫酸オリゴ糖、ラフィノースを活用した商品が認定された。認定商品の累計売上高は120億円を超え、北海道経済部食関連産業室では「これら以外にも道産由来の新規の機能性素材による認定商品も予定されている」という。
新たな取り組みでは、北海道経済産業がヘルシーDo認定商品などの機能性食品を活用し、薬局を情報発信と相談拠点とする機能性食品の普及モデルの実証を行う。同局地域経済部健康・サービス産業課では「ヘルシーDo認定商品などの機能性食品は、安心して利用者に提供できる。認知度向上にもつなげたい。まずは道内から実施していく」という。沖縄県、四国4 県、新潟県なども独自の認証マーク制度を始めており、先駆者となる北海道の取り組みに今後も注目が集まりそうだ。
■機能性素材の宝庫研究施設も集積、エビデンスを支援
その特徴的な気候・風土から機能性素材の宝庫といわれている北海道。タマネギ、ジャガイモ、ナガイモ、シソ、大麦若葉、クマ笹、アロニア、アマニ、シ―ベリー、タモギタケ、ヤーコン、アスパラガス、カボチャ、甜菜、行者ニンニク、ワサビ、ビーツ、霊芝、アガリクス、プラセンタ、核酸、プロテオグリカン、コンドロイチン、ガゴメコンブ―― など、農産物、水産物、畜産物由来の特色ある機能性素材は約40品目以上にのぼる。
機能性・安全性に関するサポートでは、北海道経済産業局が中心となり、機能性素材・食品・化粧品開発に不可欠な各種試験を一括で共同受注できる評価・解析連携体「食品・医薬品開発支援プラットフォーム」を構築。また、北海道情報大学は、食の臨床試験システム「江別モデル」プロジェクトを推進。同モデルは、地域住民ボランティアが被験者となり臨床試験を実施するというもの。
ボランティア被験者登録数は1 万人を超え、実施臨床件数は90以上に及ぶ。試験依頼は道内のみならず全国各地に広がっているという。民間の食品CROでは、トクホや機能性表示食品の臨床試験で豊富な経験とノウハウを持つ、新薬リサーチーセンターや、クリニカル・サポート・コーポレーション、協和トライアルなどが道内に事業拠点を構える。
本記事は「健康産業新聞 1676号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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