「健康立県」を掲げる新潟県では、早くより産官学がスクラムを組み、新潟の強みを生かした健康ビジネスの振興に力を入れている。「おもいやり災害食認証制度」「水性印刷商品認証制度」など独自の認証制度を展開。認証製品が増え、一定の成果が出ている。また、2030年の超高齢化社会を想定して、新たな健康ビジネスを生み出すことを目的とした「HASプロジェクト」も動き出している。一方、県内事業者では、地場の植物素材を活用した酵素食品、米由来の乳酸菌原料の供給など、独自素材・技術を活用した付加価値商材を全国へ発信している。
■広がる3つの独自認証制度
新潟県では、2006年から健康ビジネスのトップランナーを標榜する「健康ビジネス連峰政策」を推進。その後、異業種横断型の(一社)健康ビジネス協議会が発足し、10年以上にわたり毎年、健康ビジネスサミット「うおぬま会議」を開催するなど健康ビジネスの創出、産業育成に取り組んでいる。県産業労働部では、「企業間連携が進み、大きな財産になっている」と話す。
(一社)健康ビジネス協議会では、新潟独自の3 つの認証制度を展開。なかでも、「水性印刷商品認証制度」は、“地球と人にやさしい水性印刷”として注目度が上昇。ブルボン、井村屋、伊那食品工業、ひかり味噌、ユニーなどが認証マークを採用している。同協議会・代表理事会長の吉田康氏は、「“環境”“健康”は車の両輪。小売業からの関心も高い」と今後の広がりに大きな期待を寄せる。
「おもいやり災害食認証制度」は、中越地震、中越沖地震と2 度の災害時の経験を生かした独自の制度。①低タンパク質、②アレルギー対応、③性状・形状調整、④水分・電解質補給サポートという4つの認証マークを設け、段ボールや個別包装に表示する。災害時のボランティア活動者でも理解でき、災害弱者に対してすばやく支援物資を届けることができる。近年は、ボランティア活動者にも役立つ食品として注目に。
さらに、日常生活で消費しながら備蓄する「ローリングストック」に対する意識が高り、“おいしく食べる長期保存食”としての利用も進む。県内では、ホリカフーズ、亀田製菓などが災害食事業を展開している。新たな取り組みでは、健康ビジネス協議会が中心となり「HASプロジェクト」を展開。高齢者マーケティングに役立つ「HASブック」を発刊し、会員企業の共有化を進め、新しい健康ビジネスの創出につなげていく。
■注目素材・技術、有力企業が多数
新潟は全国でも有数の米どころということもあり、米を主原料とした食品製造が盛んだ。特に米菓は日本一の出荷額を誇り、全国シェアの半数以上を占める。米由来の植物性乳酸菌を供給する亀田製菓は、「整腸」「肌」分野で機能性表示食品の受理実績を有する。発酵技術のノウハウを持つ企業も多く、越後薬草、ミヤトウ野草研究所などが独自発酵による植物発酵飲料の製造・販売を手掛ける。
受託事業者では、真喜食品が健康食品向けゼリー製品の受託製造を展開。OEM先は大手企業をはじめ100社を超える。海外案件も増えていることから、「FSSC22000」の認証取得に向けた準備も進める。このほか、マルコメが今年3 月魚沼市に100%子会社として魚沼醸造を開業。米糀や甘酒の製造を開始している。
本記事は「健康産業新聞 1678号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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