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特集【アクティブシニアサポート】抗ロコモ&サルコペニア商品開発進む

わが国では、総人口に対する65歳以上の人口は3,588万人、高齢化率は過去最高の28.4%に到達。75歳以上の後期高齢者は総人口の13.3%となっており、栄養と運動を中心とした包括的な取り組みによる健康寿命の延伸が社会課題となっている。アクティブシニア市場では、高まる健康志向のニーズが反映され、抗ロコモ、サルコペニア対策などの商品開発に拍車がかかっている。最近ではアミノ酸、ビタミン・ミネラルに加えプロテインニーズも拡大。産学民一体となったロコモ、サルコペニア、そしてフレイル(虚弱)予防の取り組みが本格化している。

■100歳人口初の7万人突破、虚弱目立つ後期高齢者

超高齢社会に突入した日本では、65歳以上の高齢者が総人口の1/4 以上を占め、2050年には後期高齢者の割合も1/4に到達することが予測されている。厚生労働省は先月13日、2019年時点の住民基本台帳に基づく100歳以上の高齢者数を発表。100歳以上の高齢者数は前年より1,489人増加し、国内初となる7 万1,274人となった。7 人に1 人が75歳以上という結果に。また、厚生労働省が発表した「平成28年国民生活基礎調査の概況」では、80歳以上後期高齢者の要介護者数が上昇。さらに、介護が必要となった要因として、「関節疾患」が17.2%と最も多く、続いて「齢による衰弱」が16.2%となった。

最近では、後期高齢者の低栄養や口腔機能の衰え(オーラルフレイル)も要介護要因になるとされ、早期予防に向けたアプローチが推進されている。東京大学高齢社会総合研究機構特任教授の秋山弘子氏は、今月3 日に開催された第8 回「栄養とエイジング」国際会議プログラムにて、「虚弱化兆候の早期発見、予防対策が必要だ」と強調。官民地域連携によるフレイル予防事業の推進や、社会課題解決に向けたオープンイノベーションの必要性を提案している。学会では後期高齢者を迎える前段階の前期高齢者および、それ以前の40~50代の定期的な運動(筋力維持)と栄養(特にタンパク質、ビタミンDやミネラル類の摂取)の重要性が確認された。

■前期高齢者、健康習慣を重視

日本では超高齢化が進む一方、「アクティブシニア」と呼ばれる元気な高齢者が増加。中心となっているのは前期高齢者(65~75歳)で、スポーツ愛好家でヘルスリテラシーが高く、自ら情報収集を行い、サプリメントや健康志向食品を購入する。「コツコツ骨ラボ」が今年8月に40~60歳の男女1,200人を対象に実施した「大人の骨の健康と食生活」に関する意識調査では、男女ともに運動習慣がある年代は60代が最も多く、4 割以上に運動習慣があるという結果に。

全体では約7 割が運動に対して前向きであり、「運動を始めた・再開した・今後したい」理由の6割は「筋肉をつけたい」「骨を丈夫にしたい」などの身体的な理由が上位を占めた。

■アミノ酸、プロテインなど中高年の筋肉維持向けの提案進む

高齢者の筋肉や骨の健康維持には「運動」だけでなく「栄養」も重要と指摘されている。ロコモティブシンドロームを予防する素材としては、定番のグルコサミンをはじめ、コンドロイチンが一大マーケットを形成。一方、前述の調査より、骨を丈夫にする栄養素に関する理解は「カルシウム」のみにとどまり、「ビタミンK2」や「ビタミンD」の認知は低い結果に。「骨」「筋肉」維持強化素材に関する理解が十分浸透していないという結果となった。筋肉量は30歳をピークに低下し始め、80歳を過ぎると年間1.2%減少すると言われている。高齢者の筋肉量の維持についてはロイシン高含有のアミノ酸、HMB、クレアチンや、各種プロテインなどが有用とされている。これらはスポーツ分野で筋肉量の強化として流通しているもので、シニア層の筋肉量、筋力の維持の目的でも積極的な販促展開がされている。

 

本記事は「健康産業新聞 1678号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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