ペットのQOL向上を目的としたぺットサプリ市場が拡大を見せている。主に動物病院での取り扱いが増えており、市場規模は、末端ベースで約60億円と見られる。ペットフード協会によれば、犬猫の平均寿命は上昇しており、1匹にかける支出金額も年々増加しているという。ペトサプリメーカーは、高齢化したペットの健康維持を目的に、免疫賦活、骨・関節の維持、アイケア、口腔ケア、整腸などを訴求したサプリの製品化を進め、機能性、嗜好性の研究に注力している。一方でペットサプリの受託製造企業はまだまだ少なく、関連企業は設備投資に慎重な姿勢を見せている。
■犬猫も高齢化、サプリのニーズ高まる
現代日本では、犬猫をはじめとするペットは家族の一員として、単なる愛玩動物としてだけでなく、伴侶動物、コンパニオンアニマルとして飼い主の心に寄り添う存在となっている。介護施設や病院では、認知症や鬱症状を発症した患者への治療の一環として、犬猫との触れ合いが用いられることも多い。
(一社)ペットフード協会による最新の「全国犬猫飼育実態調査」によると、全国の犬の飼育頭数は約8,903千頭(前年比99.8%)、猫の飼育頭数は約9,649千頭(同101.2%)とほぼ横ばい。平均寿命は犬14.29歳、猫15.32歳、1 頭あたりへの平均支出金額は犬1 万1,480円(前年1 万818円)、猫7,521円(同7,475円)となり、いずれも増加傾向にある。飼育頭数は横ばいだが、高齢化が進んだことで、健康食品、サプリメントの需要は拡大している。
■獣医師ルートが堅調、獣医師専売品が増加
富士経済によると、2018年の国内のペット関連商品市場規模は4,640億円。カテゴリー別の市場規模では、犬猫特有の疾患に合わせて栄養バランスを調整する療養食が325億円(前年比4.5%増)、食事では補完できない栄養素の摂取を目的としたサプリメントが63億円(同6.8%増)と堅調に推移した。現在、ペットサプリは、動物病院をはじめ、DgS、ホームセンター、ペット専門店、WEB通販などで流通する。最近では、動物病院ルートのシェアが拡大しており、獣医師専売品が数多く上市されている。
動物病院は、全国に約1 万1,000軒あり、治療補助や疾患の再発防止を目的にサプリを積極的に活用する獣医師が増えているようだ。獣医師は、臨床試験データなどサプリに求めるハードルが高く、飼い主からの信頼も厚い。メーカーにとっては、参入障壁が高い分、自社製品の安全性、信頼性を保証できるメリットがあり、安定した販促が見込めるチャネルとなっている。
■機能性、嗜好性の研究が進展受託製造企業は慎重な姿勢
配合素材としては、乳酸菌、ナットウキナーゼ、酵素、緑イ貝エキス、サーモンオイル、冬虫夏草、プロポリス、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、アスタキサンチン、有機ゲルマニウム、アミノ酸類などが利用されている。
バイヤーの話では、飼い主の多くが自身の体感を基準に商品を選択する傾向にあり、乳酸菌や酵素など人向けで需要の高い素材がペット向けにも伸長する傾向があるという。また継続して使用させるための嗜好性を重視し、ペースト、リキッド、オイルなどの与えやすい剤形が好まれている。
カテゴリー別では、高齢化したペットを対象に、免疫賦活、骨・関節の維持、アイケア、口腔ケア、整腸といった訴求が多く見受けられる。室内で飼育されるチワワやヨークシャテリアなどの小型犬や高齢化した犬は、脱臼、膝蓋骨脱臼になりやすく、人と同様に、骨・関節サポート分野は伸長している。
ニュージーランド産の緑イ貝から抽出した脂肪酸を配合した『アンチノール®』(ベッツペット)は、全国6,000軒以上の動物病院に採用される同分野の定番商品であり、「低温抽出により脂肪酸の機能性を保つ」というコンセプトを模倣した商品の上市も目立つ。
本記事の続きは「健康産業新聞1682号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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