昨年11月27日、薬機法および薬剤師法の改正法が成立。景表法にあった課徴金制度が薬機法にも導入されたほか、薬剤師による調剤後のフォローアップの義務化や、条件付きでテレビ電話等による服薬指導の容認など、薬剤師業務が拡大。健食流通への影響は?
薬機法改正で、新たに課徴金制度が導入された。健食の措置命令に伴う課徴金制度は、平成28年4 月1 日より景表法で導入された「措置命令を受けた商品を販売して得た売上額の3%の納付」だったが、新たに薬機法違反の健康食品や健康・美容器具等に対し、「薬機法上の課徴金額である売上額の4.5%」が科せられる。
背景には、従来の薬機法における虚偽・誇大広告違反の罰金が、個人・法人ともに200万円以下であり、違反行為で得られる経済的利得に対する抑止効果が機能しにくい点や、違反事例に対する許可の取り消しや業務停止命令といった行政処分を行うことができなかった点などがある。
薬機法違反となる「医薬品的な効能効果」には、薬機法第2 条第1 項①疾病の治療または予防という効能効果、身体の構造または機能に影響を及ぼすという効能効果――の2 種類がある。②は、“胃腸の機能が改善する”“新陳代謝を促進する”といった表現が該当。「病気を治したり予防したりすることとは異なるものの、身体機能に影響が及んでいるので、医薬品的な効能効果に該当する」(丸の内ソレイユ法律事務所)という。
このほか、「『痩せる』という表現は、体重あるいは脂肪が減るという意味で身体構造に影響が及んでいるので、医薬品的な効能効果に該当する」という。なお、「健康維持、栄養補給、美容などはOK」としている。健食販社の虚偽・誇大広告に対する薬機法の課徴金導入に加え、今回、薬局・薬店の健食流通に影響を及ぼす薬剤師法の改正も。
主に、①薬剤師による調剤後の患者フォローアップ(服薬状況の把握と服薬指導)の義務化、②地域提携薬局および専門医療機関連携薬局の2 タイプの薬局を類型化し、知事の認定制を創設――など、地域包括ケアシステムの構築を視野に入れた新たな方向性が示された。既存の薬局機能にプラスする形で、特定の機能を付加した高度な薬局を地域に広める狙いがある。こうした中、食品カテゴリーの拡大が続くドラッグストア業界では、今回の改正を背景に、今後、より高齢者向けの新市場創出に力を入れていく。
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)では、スマイルケア食品やプロテイン食品等の既存食品とともに、フレイルや認知症予防、介護食、口腔ケアなど、高齢者向けを中心とした「食と健康」の新市場創出に注力。薬系ルートでは、調剤、インバウンド需要、食品―― の3 点が売り上げ増を牽引しており、中でも食品カテゴリーの伸びが著しい。
JACDSでは、フレイルや認知症など高齢者対応商品を、現状の1.5兆円から2.5兆円への拡大を見込む。薬機法および薬剤師法の改正は、医療・保険行政との利害が錯綜する点で、今後、高齢者をターゲットとする健食提案が活発化してきそうだ。
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