2019年の「総世帯」における健康食品支出が前年比10%減となったことが、総務省統計局が7日に発表した「家計調査」でわかった。2018年に健康食品の支出増に貢献した一人暮らし世帯が16%減となったことが要因。市場をけん引してきた健食インターネット通販も勢いが鈍ってきた。消費マインドの低下も深刻で、1~9月までプラスだった消費支出全体は、10月の消費増税後、3ヵ月連続のマイナスとなっている。
■総世帯の健食支出、30歳未満以外はすべて前年割れ
総務省が行っている健康商品の統計データには、専用の家計簿に記入してもらい家計の支出同行を把握する「家計調査」(約9,000世帯対象)と、インターネットショッピングで代表的な22品目の支出等を調べる「家計消費状況調査」(約3 万世帯対象)がある。7 日に発表された「家計調査」では、18年まで5 年連続でマイナスとなっていた総世帯の19年の消費支出は、1ヵ月1 世帯当たり24万9,704円で、実質は前年と同水準だった。
19年はゴールデンウィークの10連休や、お盆が休みの取りやすい曜日配列となったことなどで、宿泊費やパック旅行費などが好調だった。一方、年間を通じて気温の影響があり、7 月の冷夏、12月の暖冬で光熱費が減少した。支出全体は1 ~ 9 月まで前年同月を上回っていたが、10月以降、3ヵ月連続のマイナスで、増税の影響が読みとれる。
こうした中、クロレラやローヤルゼリーなどサプリ剤型の健康食品を対象とする「健康保持用摂取品」の支出額は1ヵ月1 世帯当たり1,090円。前年比は実数と比較した名目で10.4%減と落ち込んだ。18年の健食支出は一人暮らし世帯が前年比19.5%増と急伸し、総世帯は同3.4%増と伸長。しかし19年は一人暮らし世帯が前年比15.8%減と急落し、全体に影響を及ぼした。また総世帯の健食支出を世帯主の年齢階級別にみると、30歳未満を除きいずれも前年割れ。支出額トップの70歳以上が13.1%減の1,624円、次に多い60代が13.2%減の1,104円と、ともに2ケタ減となった。
■健食ネット通販、50~60代は好調
一方、15年調査分から健康食品が対象に加わった「家計消費状況調査」では、19年の総世帯のインターネット通販支出額は1 世帯1ヵ月あたり1 万2,683円で、前年比15.0%増と伸びた。一方、健康食品のネット通販支出額は473円で、前年比1.3%減。17年に前年比27%増、18年に同36%となり2 年で約1.7倍に急拡大したが、19年は足踏みする結果となった。世帯類型別では、2 人以上世帯は542円で前年比6.3%増と伸びたものの、一人暮らし世帯が338円で同18.8%減と大幅に支出を減らしている。
「総世帯」の支出動向を世帯主の年齢階級別にみると、健食ネット通販をけん引する50代、60代は前年の支出を上回っており好調が持続しているが、そ他の年齢層は30歳未満を除き前年割れとなった(左下グラフ)。時系列で見ると、健食ネット通販支出の動向が変わったのは19年6 月だ。月次比較が可能な2 人以上世帯のデータでは、19年5 月まで32ヵ月連続のプラスで、2 ケタ増は16ヵ月連続となっていたが、19年6月に前年同月比1.8%減といきなり失速。下半期はマイナスの月が4回あった。ただ統計局では、7月の5.8%増、11月の0.9%増とプラスになった月もあり、完全に頭打ちとまでは言い切れないとしている。
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