ゴマ由来素材の活用が広がっている。一般食品で馴染み深いゴマは、いり胡麻やすり胡麻、ペーストとしてあらゆる食品との組み合わせが可能。胡麻油やラー油などに代表される独特の香ばしさは、食欲を増進させる香りとしても人気がある。油脂を構成する脂肪酸はリノール酸とオレイン酸で占められ、ゴマ1粒に1%未満しか存在しない抗酸化成分リグナンの認知度は、代表的なセサミンを中心に定着。“黒胡麻”“発酵”といった切り口も見られるサプリメントだけでなく、胡麻麦茶や胡麻若葉末等の飲料、製菓、一般加工食品分野など幅広い分野で活用が進んでいる。
■国産ゴマ、供給タイトな状況続く
ゴマの産地は、インド、中国、ミャンマー、スーダンの 4ヵ国で全世界の生産者の70%をカバーしており、国内に流通する原料の 9 割以上は海外産。アメリカで育成し、南米などで栽培される品種には、中の種子が熟してもサクの開かない種があり、成熟後にコンバインで一気に刈り取ることなどが可能だが、国内にはそういった品種はなく、原料栽培で機械化できない作業が多く、海外と比べて生産量が圧倒的に少ないのが現状だ。
こうした中、家庭用と業務用の各種ゴマ製品を取り揃える㈱大村屋は、「昨秋より安定供給に目途がついた」とし、数年来不作が続いていた『国産ごま』の提案を再開。ごま専門メーカーの㈱釜屋は、「問い合わせは多く、自社製品分のみ確保した状況。OEMは健康食品よりも加工食品の受託依頼が増えており、工場はフル稼働状態」という。一昨年の台風から持ち直してはいるものの、依然として供給タイトな状況が続いている。
■1粒の1%未満、“リグナン”
ゴマで注目される栄養成分は、その大半を占めている不飽和脂肪酸にある。特に、ゴマ1 粒にわずか1 %しか存在しないリグナンは、抗酸化成分を豊富に含むため、他の不飽和脂肪酸よりも酸化しにくい点を特徴とする。ゴマの代表的なリグナンには、セサミン、セサモリン、セサミノール、セサモールなどがある。リグナンは、カルシウムやマグネシウム、鉄、リン、亜鉛などのミネラル分やたんぱく質、食物繊維、ナイアシン、ビタミンA、B1、B2、B6、Eほか、脂質としてオレイン酸やリノール酸を豊富に含む。脂質に次いで多いたんぱく質は約20%で、必須アミノ酸8種類を含む。機能性としては、抗酸化作用、活性酸素の生成抑制、肝臓機能の強化、抗老化、免疫力向上、コレステロール抑制などの作用が確認されている。
また、ゴマから抽出されるゴマリグナン、ゴマペプチド、黒ゴマ表皮、胡麻若葉には、ポリフェノールなどの有用成分が含まれる。サプリメントで注目される黒ゴマは、種皮の割合が多く、黒色にはブルーベリーと同じアントシアニンが含まれており、その分カルシウムなども他種のゴマより多く含まれている。原料サプライヤーには、サプリメントをはじめ多用途で採用実績を持つ『リグナンリッチ黒胡麻』や、青汁の差別化原料として引き合いが強まっている『国産胡麻若葉末』などの機能性ゴマ原料を揃える㈱わだまんサイエンスや、ミャンマー産リグナンリッチ黒ゴマ種子をセサミン90%以上で規格化した『黒ゴマフェノン』を供給するフィトファーマ㈱などがある。
㈱わだまんサイエンスでは、今月より新原料『金胡麻マイクロパウダー』のサンプルワークを開始、胡麻粉末飲料や製菓など一般食品分野への提案を推進していく。フィトファーマ㈱は、メタボ対策やダイエット・美容に関するヒト臨床試験データを保有。「黒ゴマフェノン、オイル、セサミンの問い合わせは多く、新規取引先は増加している」という。
本記事の続きは「健康産業新聞1685号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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