昨年8月、国民生活センターによる「錠剤・カプセル状の健康食品などの調査」で、100銘柄中42銘柄が局方の崩壊規定時間に崩壊しなかったことを受け、日健栄協では、GMP認定工場に対する崩壊性試験の義務化を決定。機能性表示食品制度では、すでに届出の際、「製品の崩壊性・溶出試験」結果の提出が義務付けられている。今後、成形性、流動性とともに、崩壊性も備えたサプリメント錠剤の開発に欠かせない高機能添加剤をレポートする。
■求められる体内崩壊機能
サプリメントの定番剤形のひとつである錠剤に、「崩壊性試験の義務化」が決定した。受託メーカーの中には、昨年8 月に行われた国民生活センターの試験は、「素錠30分以内、コーティング錠60分以内」という医薬品で用いられる判定基準を適用したことに疑問の声も。「医薬品のように用法・用量はいえず、自由に大量に食べる人や、食事を摂らずに食べる人などはどうするのか」「医薬品基準でそこまでサプリメントに要求するなら、用法・用量も記載できるようにすべきでは」といった声がある。日本健康・栄養食品協会では、GMP認定工場に対し崩壊性試験の義務化を決定しており、従来以上に添加剤の選択が問われる局面にある。
■高機能錠剤を支える各種添加剤
錠剤は、2001年「医薬品の範囲に関する基準」改正後、丸剤やハード・ソフトカプセルとともに急速に食品利用が進み、サプリメントのメジャーな剤形のひとつとして定着。含有素材や最終製品の訴求内容に応じて、成形剤(賦形剤・結合剤)やコーティング剤、滑沢剤、崩壊剤などさまざまな添加剤が用いられる(表)。医薬品では、患者の一回の服用設計がしやすく、取り扱いの容易な点から、他の医薬品固形製剤である散剤や顆粒剤、カプセル剤と比較しても錠剤の比率は高く、全体の過半数を占める。医薬品の錠剤では、頭痛薬や下痢止めなどが一般的な常備薬として認知される。
■サプリメントと医薬品で異なる有用成分の含量
サプリメントと医薬品の錠剤の大きな違いは有効成分の含量だ。極小量を配合し、大半を添加剤で整える医薬品錠剤に対し、サプリメントの場合、有用成分の高含量化、小型化とともに、硬度や光沢、結合性と崩壊性の両立などが課題となる。また、低コスト化のニーズを受け、造粒工程を省き、製造コスト抑制の可能な直打法を採用する場合でも、有用成分の高含有ニーズを満たしつつ、錠剤の硬度や崩壊性のバランスを満たして直打を可能とする添加剤が要求される。
しかし、固まりにくい原料の場合、硬度を出すために賦形剤含量を増やさなければ直打できない。逆に、食品原料の大半を占める固結しやすい原料の場合、崩壊性が課題となる。こうした原料の物性に応じて各種の添加剤を検討し、成形性、流動性、崩壊性などをコントロールしつつ、徐放性などの機能を付加することで、高機能サプリメント錠剤の開発が可能となる。加えて、製造現場の人手不足を考慮し、作業時間の短縮に貢献する添加剤や、飲み易さ、味の良さを満たす添加剤などのニーズも高まっている。
こうしたニーズを背景に、サプリメント錠剤向けの高機能添加剤として、健食の錠剤用バインダー、増粘安定剤から可食フィルムまで、少量の添加で粉体の結着機能を持つ点に定評があり、国内外で好調な『セルニー』(日本曹達)や、圧縮成形性と崩壊性のバランスが優れた錠剤を得ることができる直打用乳糖『乳糖グラニュー』(フロイント産業)、錠剤コーティング剤として医薬用の実績も豊富な『メトローズ®』(信越化学工業)、日欧米三極薬局方適合の崩壊性の良好な賦形剤として、小型で錠厚が薄く崩壊性の良い製錠が可能で、口腔内崩壊錠(OD錠)としての応用も可能な『リン酸水素カルシウム』(協和化学工業)などがある。
本記事の続きは「健康産業新聞1685号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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