昨年年発表されたゼラチン・コラーゲンペプチドの販売量調査の最新版では、平成30年度のコラーゲンペプチドの販売量は5,839tと過去最高に。第2次コラーゲンブームとも呼べるここ数年のコラーゲンニーズの急増を反映する形となった。一方で懸念事項も。先の調査では2年連続で過去最高販売量を更新しつつも伸び率が鈍化している点だ。フィッシュコラーゲンの超過需要から一次原料となる淡水魚の鱗や皮の原料不足や価格急騰が深刻な状況になったが、原料のタイト感による顧客離れが影響した可能性が高い。現在コラーゲンの利用拡大は国内のみならず世界規模で広がっており、特に北米や東南アジアの伸びが著しい。引き続き売り手市場にあるなかで、原料サプライヤー各社の供給体制が今後の市場拡大の鍵を握りそうだ。
■コラーゲン人気続く、食用用途4,962tに
日本ゼラチン・コラーゲン工業組合がまとめるゼラチン、コラーゲンペプチドの販売量調査(加盟企業14社を対象に実施)によると、平成30年度のコラーゲンペプチドの販売量は、5,839tと過去最高を記録した。平成29年度調査では5,800tだったため、微増の伸びだった。用途別では、食用が4,962t(前年4,772t)で103%。医薬用は84t(同74t)で113%となった。一方で、輸出については760t(同901t)で84%と大幅な減少に転じた。コラーゲン需要が高まるなか、販売量の伸びは微増レベルで着地した格好だ。
同工業組合では、「食用は微増であるが、輸出が減少し、全体としてはほぼ横ばい状態となった。美容用途向けが思いのほか低調であった事と、魚原料がタイトで引合いに対応できなかった事が要因」とし、さらに「魚原料のタイト感、価格上昇は改善の兆しが無い中で、由来原料変更の提案も顧客了解を得難い事から、供給不安による顧客離れが懸念される」としている。
一方、ゼラチン販売量は16,597t(同16,524t)で、食用、医薬用、工業用での用途では微増も、輸出は多少減少するなど、全体としてはほぼ横ばい状態となった。工業会では、「TPP11、EU・EPAが発効され、輸入品の関税率低下による海外品の増々の浸食が懸念される」とみている。事実、海外大手ゼラチンメーカーによる日本市場の参入は活発化しており、今後競争はさらに激化の様相を呈している。
■フィッシュコラーゲンの供給に改善の兆し
現在コラーゲンペプチドの需要は国内のみならず、中国をはじめとしたアジア圏、さらには北米でも急伸しており、世界規模で急速に広まっている。なかでもフィッシュコラーゲンの人気は高く、世界規模で原料の奪い合い状態となっている。こうした超過需要から、一次原料となる淡水魚の鱗や皮の原料不足、価格急騰が深刻な状況に陥っていた。一部では中国企業による在庫の囲い込みなどが要因とされていたが、ここにきて解消傾向にあるという。
また、国内原料メーカー各社が原料調達ルートの確保に奔走するなどの努力も奏功し、一時期の原料不足は解消の方向に向かいつつある。ただ、価格は依然高騰したままで、しばらくはこの状況が続きそうだ。コラーゲンは美容素材の代名詞ともいえる認知度の高さと、価格面などの扱いやすさから不動の地位を誇っているだけに、今回の値上げは健食業界にとって大きな痛手で、この状態はしばらく続くと予想される
本記事の続きは「健康産業新聞1687号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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