消費者庁は2月10日、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする健康食品やマイナスイオン発生器等を扱う30の事業者に対し、景品表示法・健康増進法の観点から、緊急的に改善要請を行ったと発表した。健康食品では、「ビタミンCはコロナウイルスから体を守る」などの表示があり、23事業者に改善を求めた。あわせて、SNSを通じて消費者に注意喚起。消費者庁では今後も継続的な監視を行っていくとしている。
■消費者庁「対策の山場」
消費者庁では今回、新型コロナウイルス感染症の拡大に乗じた虚偽・誇大表示に対し、消費者が誤った対応をしてしまうことを防止する観点から緊急監視を行った。調査期間は2 月25日から3 月6 日までで、インターネット広告で新型コロナウイルスに対する予防効果を標榜するウイルス予防商品について、景表法・健増法の観点からチェックした。
その結果、30事業者の46品に対し、消費者の誤認を招く文言があったとして、改善を要請。このうち錠剤やカプセルなどの健康食品は23事業者40商品で、「新型コロナウイルス感染防止サプリメント!!ビタミンCとビタミンD」「新型コロナウイルス対策!天然藁納豆にウイルスは勝てない」「新型肺炎には早期の漢方が効果的」といった表示が見られた。マイナスイオン発生器等では「新型コロナウイルス対策」、空間除菌剤では「インフルエンザ・新型コロナウイルス・風邪などの予防に」といった表示があった。
消費者庁は、民間施設での試験実施が不可能な現状、新型コロナウイルスに対する予防効果の標ぼうは、「客観性と合理性を欠くもの」と指摘。景表法(優良誤認表示)、健増法(食品の虚偽・誇大表示)の規定に違反するおそれが高いとみなした。消費者庁の担当者は10日行われた記者レクで、「情報をうのみにして、手洗いをしなくてよい、などといった誤った認識をすることになると問題。今が新型コロナウイルス対策の山場なのですばやく対応を行った」と説明した。また本紙取材に対し、新たに出現した「新型コロナウイルス」への予防効果は、現段階では誰も立証できないとして、新型コロナウイルスへの有効性をうたうことそのものがNGとしている。
さらに、ECショッピングモールに不適切な出品がみられることから、大手の運営事業者にも表示の適正化について協力を要請した。改善要請を行った結果、多くの事業者で表示が改められているという。改善されない場合は、調査を踏まえて「厳正に対処する」(表示対策課)としている。消費者庁では今回、公式ツイッター、フェイスブックを通じて、「新型コロナウイルス予防に効果あり」といった広告表示に対する注意喚起を実施。現時点で当該ウイルスに対する効果を裏付ける根拠は認められていないとしている。消費者庁ではSNSを通じた各種の注意喚起を行っているが、リツイート状況など「反応は大きい」としている。消費者庁では今後も、新型コロナウイルス予防表示を含めて、不当表示に対する継続的な監視を実施し、法に基づく適切な措置を行うとしている。
■表示されていた効果等
本記事の続きは「健康産業新聞1688号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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