本紙編集部では、2019年度の健康・美容成分を配合した機能性飲料の市場動向を探るべく、飲料受託メーカーを対象に、アンケート調査を実施。24社から回答を得た。2019年度の機能性飲料市場では、冷夏の影響で清涼飲料水や栄養補給系、熱中症対策系のゼリー飲料などは苦戦したが、スポーツ系のパウチゼリー飲料は好調を維持、また美系ドリンクも国内需要の回復が見られた。さらにリトルPETやブローパック、Tパウチ、スマートパック、チルドカップなど容器の差別化で業績を上げる企業も見られるなど、市場は概ね堅調に推移した。一方で、今後の成長が期待されている海外市場は、中国に端を発した新型コロナウイルスの影響で、先行きが不透明な状況に。7割の企業が直接または取引先を通じて海外展開を推進する中、新型コロナの動向が注視される。
■スポーツ系・美容系で国内需要が回復基調も、、増収企業は減少
アンケートでは、2019年度の業況、経営状況、設備投資状況、品質・管理システムの導入状況、人気受注素材、受注が伸びている製品カテゴリー、海外展開状況、工場の人材状況―― などについて調査した。2019年度経営状況について「非常に良かった」と回答した企業は8 %、「良かった」(33%)と合わせると41%となり、昨年調査との比較では8 ポイント減少。増収を達成した企業は50%で昨年より17ポイント減、2 ケタ増は17%で同3ポイント減だった。昨年は冷夏の影響もあり、清涼飲料水は全般的に低調に推移した。
一昨年から人気の続いている口栓付パウチ入りのゼリー飲料でも、マルチビタミン、ミネラル、エネルギー補給などを目的とする食事代替系や、熱中症対策系は一部影響を受けた。一方で、国民の健康志向を背景に運動人口が増加していることを受け、アミノ酸やプロテインなどを配合したスポーツニュートリション系のパウチゼリー飲料は堅調に推移。昨夏では、大同薬品工業が新たにパウチ専用工場を建設したが、既に取引先を中心とした注文が殺到している状況といい、引き続き業界全体で逼迫した状況にある。
また今回の取材および調査では、国内市場における美容系ドリンクの需要に回復基調が見られていることも分かった。大同薬品工業や日興薬品工業、タンポポ産業などの話では、既存製品のリニューアルに加え、これまでサプリメントしか扱っていなかった健食メーカーや化粧品メーカー、通販会社から兆しも見られる。容器の差別化で業績を伸ばす企業も。アピでは、リトルPETやブローパックなど独自の容器が人気を博している。
なかでもリトルPETは乳酸菌飲料をはじめ、既に500品目の受託実績を持ち、増設した生産ラインを今月から稼働させる。ビーエイチエヌのTパウチやVIVIDのスマートパックなどの軟包装容器もスポーツ分野を中心に好調だ。このほか、リフレカップのチルドカップはプロテインやアーモンドミルク、豆乳などの受注が増えているという。こうした中、2019年度に設備投資を行った企業は57%となり、昨年調査より4ポイント増加。新工場も2 社が建設した。
■今期61%が増収見込むも、新型コロナで海外市場に暗雲
2020年度については、61%が増収を見込んでいるものの、経営見通しが「良くなる」との回答は38%にとどまっている。背景には、中国に端を発した新型コロナウイルスの影響がある。多くの受託企業では現状、海外輸出の売上全体に占める割合は、それほど多くはないものの、今後の伸びしろと期待する企業は少なくない。実際、ここ数年は中国を筆頭に海外市場で「メイド・イン・ジャパン」の美容系ドリンクの需要が拡大しており、国内メーカーの海外輸出向け製品の受注や海外ブランドオーナーからの受注が増えてきている。
本記事の続きは「健康産業新聞1688号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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