政府与党の政権公約にある「統合医療の普及と推進」が、実現に向け動き始めた。統合医療関連の今年度予算が前年の約10倍にあたる10億円になったほか、2月には厚生労働省内でプロジェクトチームが作られ、各療法別の実態調査に着手した。
これから「国策」として統合医療がどのように進んでいくのか―。統合医療マニフェストの実現の旗手である、民主党議員で「統合医療を普及・促進する議員の会」副会長の山根隆治氏に話を聞いてみた。
― 統合医療推進の経緯について
昔から医療費削減を含めた統合医療の導入を考えていた。数年前に民主党内で議連を作り、サプリメント、鍼灸、漢方医療、カイロ、マッサージ、心理療法、芸術・音楽療法、柔道整復(社団・協議会)と、10種の療法別に分けた委員会を作り、関連業界の意見を取り入れる勉強会を行い、報告書をまとめた。
統合医療で問題だったのは受け付ける部署がバラバラであること。そこで今年の予算委員会でまずは窓口の一本化と、厚生労働省内にプロジェクトチームの設置を求め、今回は漢方について特化した10億円の予算が付き、2 月はじめにプロジェクトチーム(PT)を設置していただいた。風穴がいよいよ開いたと思う。
― 今後の統合医療の動向について
まず政府の方針では漢方をはじめ全国の業界団体からヒアリングなり情報を集めていく。私自身では党内議連の委員会と連携し、短期・中期・長期と分けてPTの取り組みと整合性を持たせたい。気になるのが統合医療に否定的な日本医師会の動向。今後は医師会の体制や考えも聞きながら折衝していくことになるだろう。以前、統合医療とは何かを定義づけた基本法案の必要性を感じ、私案を出したことがある。しかし定義付けでどうしても各療法のエビデンス不足などの問題があったため、明確化が難しかった。法制化についてはまだまだ時間がかかるだろう。しかし法律を作る必要性はあると思うので今後検討していきたい。