β-グルカンの含有量が高く、血糖値上昇を抑制する効果や血中コレステロール低減、腸内環境改善といった効果が報告されている大麦。こうした健康機能性がメディアで報じられたことを契機に、近年「もち麦」人気が高まった。市場にはレトルト食品やシリアル、粉末ドリンクなど、幅広いアイテムが流通。様々な食シーンを想定した新商品も続々登場している。国産もち麦の作付面積は前年比3.5倍と急増し、食感・におい低減を打ち出した新品種の開発も。輸入品が7割といわれるなか、“国産もち麦”を訴求した新たな提案も加速している。
■「食べ方提案」「国産」「機能性」さらなる市場拡大のカギに
血糖値上昇抑制やコレステロール値低減、整腸作用などの健康機能性が報告されている大麦。テレビ番組では健康効果や美味しさがクローズアップされ、食物繊維が豊富なもち麦人気に拍車がかかっている。マーケットでは新製品も続々登場し、店頭での売場スペースも拡大傾向にある。
紙が大麦サプライヤーを対象に実施したアンケート調査でも、市況は「好調」と答えた企業が多く、背景には「テレビでもち麦が紹介されたこと」などを挙げている。さらなる市場拡大に必要なことについての問いには、「常食にするための新たな食べ方提案」「国産もち麦の商品開発」「新たな機能性研究」といった回答が目立った。
■市場規模70億円にレトルト、粉末ドリンクなど、新商品続々
もち麦を含めた大麦市場が拡大している。精麦最大手の㈱はくばくの調査によると、2018年度の市場規模は70億5,400万円に(GMS・SM・DgS・CVS対象で、外食・宅配などは含まない)。2015年度(26億2,400万円)と比較して2.7倍に伸長した。
同社によると「潜在需要も含め、今後の市場拡大の余地は大きい」とみる。現在は脱乾物商品戦略(大麦を食べる機会を増やす)とチャネル別商品戦略(大麦を食べるきっかけを増やす)を打ち出した需要の深掘りに注力。多様な食シーンに対応できる食べ方提案を加速させている。
「たこ焼き粉」「うどん」「冷凍用もち麦」を昨年に投入したほか、「レトルト食品」や「シリアル」、「粉末ドリンク」も今年3 月に続々投入した。新市場を創出すべく、美味しさや豊富な食物繊維、時短を打ち出した提案を活発化させている。
■国産もち麦の生産「3.5倍に急伸」
公表。もち性大麦の生産量は8,580tで前年比3.5倍に拡大したことがわかった。新品種の「くすもち二条」や「はねうまもち」の伸長が全体の生産量増加を後押しした。生産量の多い順では「はねうまもち」が2,653t、「ホワイトファイバー」が1,654t、「キラリモチ」1,504t、「くすもち二条」が1,243t、「ダイシモチ」が1,089t、「もち絹香」が223t、「もっちりぼし」が107t、「米澤モチ2 号」が107tとなっている。全国各地でもち性大麦の品種が生産されている傾向にあり、もち麦の選択肢が幅広くなっている。
西田精麦㈱は、九州産原料のグラノーラ製品などを展開。「もち麦の普及によって現在、価格訴求に陥りつつある」としたうえで、「今後はしっかりと差別化した原料や商品開発で付加価値をつけていく」としている。
大麦や胚芽押麦、はだか麦など、16種類全て国産雑穀を使用した機能性表示食品も。㈱種商は昨年、“血圧”と“ストレス”をテーマにした機能性表示食品2アイテムを新に投入した。GABAを関与成分とした商品で、『血圧サポートGABA国産十六穀米』と『リラックスGABA国産十六穀米』を発売している。
本記事の続きは「健康産業新聞1689号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこしちら
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