特集

特集【カプセル技術】〝耐酸性〞 〝植物由来〞で差別化

サプリメントのメジャー剤形であるカプセルの需要が拡大している。乳酸菌ブームを背景に、“耐酸性”や“崩壊遅延防止”といった高機能カプセルの引き合いが増加しているほか、ナチュラル志向を受けた“植物由来”カプセル需要の拡大も継続。カプセルメーカーでは、液体充填やナノ化、三層シームレスといった技術を駆使し、さまざまな機能改善や付加価値化を提案。サプリメントだけでなく、一般食やハラル対応、介護関連などへも用途の細分化が進んでおり、市場拡大に高いポテンシャルを秘めている。

■乳酸菌関連で“耐酸性”好調

サプリメントでは、乳酸菌・ビフィズス菌用途を中心に、酵素関連など錠剤化の難しい素材に対し、胃酸から素材を保護する耐酸性カプセルの採用が増えている。耐酸性のHPMCハードカプセルでは、『DRcaps®』(ロンザグループ/カプスゲル・ジャパン)が好調なほか、『EMBOCAPS®-AP(Acid Protection)』(ソーフンジャパン)も「前年比で倍増」となるなど伸長。

また、生菌素材を充填できるソフトカプセル製剤『ビフィズス菌配合・三層シームレスカプセル』(富士カプセル)や、ソフトカプセル皮膜に腸溶性の機能を付与した特許製法の『ISカプセル』(中日本カプセル)、三層コーティング技術を用いてソフトカプセルだけでなくハードカプセルを腸溶性にすることも可能な『耐酸性カプセル』(アリメント工業)なども順調に推移している。さらに、新たに開発した『腸溶性カプセル』(キャタレント・ジャパン)や、腸溶性原料として効果の得やすい特許技術『食品素材のナノカプセル化技術』を活用した素材開発・OEM供給(金秀バイオ)などの提案も見られる。

■需要増の背景にあるカプセルの利点

サプリメントでカプセル需要が高まる背景には、カプセルメーカー各社による技術開発がある。医薬品剤形としてもメジャーなカプセルには、ゼラチンやプルラン、セルロースなど可食性の皮膜である円筒形のボディとキャップで素材を包むハードカプセルと、同じく可食性のゼラチン皮膜を圧着・成型加工して素材を包むソフトカプセルがある。オリジナル技術に磨きをかけるカプセルメーカー各社により、ナノカプセルやシームレスカプセル、グミカプセル、ガムカプセルなどさまざまなカプセルが流通。中身となる素材の特性に合わせて、機能改善や付加価値化など幅広い用途で応用が進む。

カプセル剤形の主なメリットは、熱や圧力をかけずに製造でき、素材に優しく品質劣化の原因となる物理的要因が少ない点と、魚油やニンニクなど匂いが強くそのままでは摂取しにくい食品原料に対し、賦形剤を入れず高い比率で配合できる点などがある。ハードカプセルは、他の剤形に比べて製造工程が少ないため、製剤化・商品化が早いというメリットも。

平成19年2 月27日付官報に使用基準が改正され、保健機能食品(特定保健用食品+栄養機能食品)だけでなく一般食品にも使用可能となった植物由来のセルロースHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロス)カプセルの占める割合が高い。

一方、ソフトカプセルは、カプセル皮膜の色や味、形などの選択肢が豊富な点、固形剤と比べて製品設計の自由度が高い点といったメリットがある。製造機器で一定レベルの生産が可能なハードカプセルや錠剤と比べて製造工程が多いため、メーカー側が手間を要する剤形だが、特許製法を豊富に持つ中日本カプセルなど、差別化として技術革新を進めるケースも見られる。

本記事の続きは「健康産業新聞1689号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこちら

■「受託製造企業ガイドブック2017年版」 好評販売中■

受託製造企業ガイドブック2017健康産業新聞a
2012年版を全面改定し、「機能性表示食品への対応」を追加。各社の概要、特色、業況、連絡先がこの一冊に。健康食品・化粧品の製造、各種試験・分析依頼、原料調達などに、ぜひ本書をご活用ください。⇒詳しくはこちら!

行政・業界ニュース

企業ニュース

特集

PAGE TOP