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特集【免疫サポート】免疫ニーズ沸騰、サプリメント需要高まる

新型コロナウイルスの拡大を受けて、国民のセルフメディケーションの意識が急激に高まっている。有効な治療法、特効薬が存在しない中、免疫を高めるといわれる食品やサプリメントの需要が拡大。健食メーカーは、免疫賦活作用のエビデンスの確立された素材の提案を活発化させている。機能性表示食品では、粘膜中の分泌型グロブリンAを作用機序とした届出が進展。免疫表示の実現に期待が高まっている。

■新型コロナ、経済への影響懸念

 新型コロナウイルス(COVID -19)が世界中で猛威を振るっている。昨年末、中国・武漢で発生した同ウイルスは、瞬く間に各国に飛び火し、全世界の総感染者数は143万人、死者数は8 万に達した( 4月8 日現在)。国内でも感染者数が急増するなか、4 月7 日には首相より東京、神奈川、大阪などを対象区域とした緊急事態宣言が発令。一層、緊迫感が高まっている。切迫した情勢のなか、製薬業界では競ってCOVID -19のワクチン開発に着手。米国や中国の大手製薬メーカーでは既に臨床試験がスタートしているが、新ワクチンの開発には時間がかかり、実用化までのハードルも高い。

 有効な治療法、特効薬のない現状では、外出後の手洗いうがいやマスクの着用を心掛けると共に、流行地への渡航、人込みや繁華街への外出を控えることが基本的な予防策となる。また十分な休養、バランスの良い栄養摂取、室内での適度な運動が体力や抵抗力を高める上で重要となる。

■免疫サポートサプリ需要拡大

 こうした中、国民のセルフメディケーションの意識が急速に拡大。免疫のアップにつながるとしてテレビ番組で紹介された食品が、消費者心理を刺激して、スーパーから納豆やヨーグルトが姿を消す事態も。免疫賦活作用をもたらす健康食品の需要が高まっている。経産省の商業動態統計によるとD g S ルートにおける健食販売額は1月191億円(前年比7.6%増)、2 月189億円(同13.2%)と2 ヵ月続けて伸長。バイヤーからは、「免疫に関連した商品の売行きが好調だ」という声も。

 また米ヘルスケア産業媒体「HBWInsight」の調査では、米国ではビタミン、エナジードリンクなど栄養補助食品の需要が急増。中国でも免疫をつける意味合いからビタミン、アミノ酸の需要が高まっているという。各国での免疫関連素材へのニーズ拡大や、物流停滞による供給不安からビタミンC、飼料用のビタミンB群、アミノ酸原料など一部の原料には値上げも見られる。中国産原料サプライヤーは、「今のところ影響はないが心配しているのは物流。輸入に支障が生じると、今後は影響が出てくるかもしれない」としている。

■免疫研究、新たな切り口も

 現在、国内に流通する免疫対応素材は、乳酸菌素材、濃縮乳清タンパク、海藻由来多糖類、有機ゲルマニウム、米ぬかアラビノキシラン、リポポリサッカライド、霊芝、ヒメマツタケ、キャッツクロー、セイヨウカラマツ、フミン酸、ツバメの巣エキスなど。原料メーカーからは、「ここ数カ月は問い合わせが増えている」「免疫系サプリのOEMが活況だ」との声も聞かれる。各原料メーカー、大学研究機関などで長年、免疫賦活作用に関するエビデンスが蓄積されている。最近の研究では細胞から分泌されるインターフェロン(IFN)、血液中のグロブリン( I g )の産生と免疫賦活の相関性がクローズアップされており、口腔内や腸管の粘膜中の分泌型グロブリンA(s -l g A)を作用機序とする機能性表示食品の届出も見受けられる。

 また乳酸菌市場では、カルピス、キリン、ハウスなど大手メーカーで免疫領域の研究が進展。従来の腸内フローラ改善に加えて、口腔内の菌バランスに着目したアプローチも見られる。口腔内には腸内と同様の細菌叢が形成されており、ロイテリ菌、L 8020菌など口腔内に作用する菌株の利用が拡大。複数の菌株を組み合わせることで腸と口の両方に作用することをコンセプトとした免疫サポートサプリの上市も見られる。

 

本記事の続きは「健康産業新聞1690号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこちら

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