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特集【プロポリス】抗菌・免疫で再評価

認知機能改善や体脂肪蓄積の抑制、口腔内細菌に対する抗菌作用、免疫賦活作用など、豊富なエビデンスをもつプロポリス。今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、プロポリスが再評価されている。市場ではセルフケアや体調管理、感染対策とみられる需要が急増。プロポリス製品を拡充する小売りの動きもみられはじめている。取材先からは、「3月から問い合わせが多くなった」「リピーターの購入量が増えた」「キャンディの欠品が生じた」などの声も上がっている。プロポリスが再び脚光を浴びる中、サプライヤーサイドでは新たなユーザー獲得に向けた取り組みを加速。敬遠されがちな特有の香り・味が解消されたキャンディや練り歯磨きほか、化粧品、ペット向け商材など、ライトな製品で新たな需要を取り込んでいる。

「一度離れたユーザーの復活」など 3月から引き合い高まる

 本紙が実施したプロポリスに関する市場調査では、多くの企業で「3 月~ 4 月にかけて需要が一気に高まった」とする回答が目立ち、引き合いは今年から好調に推移している様子が伺えた。好調の要因については、「新型コロナ感染症対策とみられる需要」が圧倒的に多く、「リピーターによる購入量の増加」「プロポリスから一度離れたユーザーの取り戻し」「新規ユーザー獲得につながった」との回答もあった。こうした需要の高まりを受け、流通サイドでは販路を拡大する機運も高まっている。最終製品を展開する企業からは「某大手ドラッグストアからの引き合いが増えている」といい、「取り扱い店舗が200店から800店に増加した」との事例も出てきている。原料・OEM事業者からは「海外からの問い合わせが多くなった」「華僑からの引き合いが増えている」との声も。プロポリスは現在、国際的に需要が高まっており、「国によっては2 ~ 4 倍に急伸しているケースもある」という。こうした中、ブラジル産プロポリスの原料調達に不安をもつ声も一部に出はじめている。取材先からは、「気候変動による影響で今年は出来高が少ない」「ブラジル国内でもプロポリスが注目を集め、サプリメントの販売に乗り出す企業が増えた」といった声も。このほか、「原料調達市場で値が上がった」「新型コロナ感染症の影響で通関手続きが遅延している」「海外の港湾・陸上輸送の停滞」を指摘する声も。「この状況が続くようならストックがない事業者は生産が厳しくなる。昨今の需要に対応できない」といった懸念の声も聞かれた。

■豊富な機能性研究 「クルクミンとの併用効果」も

 多数の化学成分を含むプロポリスは、植物の種類や気候条件、収穫時期、ミツバチの種類などにより異なる。産地はブラジル産をはじめ、ポーランド産やルーマニア産、中国産など。ブラジル南東部に位置するミナスジェライス州のグリーンプロポリスは多くの学術論文に掲載され、抗腫瘍・抗潰瘍・抗炎症・抗真菌症・抗菌作用などの優れた機能性が報告されている。海外産プロポリスの研究を行う静岡県立大学食品栄養科学部の熊澤茂則教授によると、「現在は東南アジアで採集されるプロポリスの含有成分や機能性の研究を行っている」といい、「いくつかのキサントン系化合物を同定した。これらキサントン系化合物は、ガン血管新生抑制作用を有していることを判明した。さらなる詳細な研究を進めている」としている。中部大学・応用生物学部食品栄養科学科の津田孝範教授は、ブラジル産プロポリスの主要成分であるアルテピリンCについて、熊澤教授との共同研究を進めている。同氏によると、「褐色脂肪細胞を増加させることや熱産生を高めることなどを明らかにした。アルテピリンCによる褐色脂肪細胞の誘導は、クルクミン(ターメリック由来の食用黄色色素)との併用で強く増幅する」といい、「ブラジル産プロポリスの新たな機能を活用したサプリメント開発などが期待できる」と述べている。

本記事の続きは「健康産業新聞1691号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこちら

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