新型コロナウイルス感染拡大に伴うライフスタイルの変化が、消費者の消費行動を一変させた。3月の各種統計が8日までに出そろい、消費者は日持ちのする食材やトイレットペーパー、ゲーム機などの支出を増やす一方、交通費や旅行費、飲酒代などを大幅に減らした。3月の消費支出の落ち込みが2019年度で最大となる中、健康食品はプラスに。消費者の支持が得られている。“巣ごもり需要”が生まれ、有力通販企業からは「在宅勤務による食べすぎを気にする人が増えて、ダイエットサプリの売り上げが伸びている」との声も。ただ、コロナ問題が長引けば経済的理由で健康食品にも影響が出ることを懸念する声が複数聞かれ、各社は事態の推移を慎重に見守っている。
■勤労者世帯、サプリ支出2ケタ増
総務省統計局が8 日に発表した2 人以上世帯を対象とした「家計調査」3 月分では、新型コロナウイルスの影響による消費行動の変化が鮮明に表れた。2 ケタ増となったのは、米、パスタ、即席麺、冷凍調理食品、トイレットペーパー、ゲーム機、浴用・洗顔石けんなど。一方、食事代、飲酒代、鉄道運賃、航空運賃、パック旅行費、乳液、口紅などは2ケタ減だった(表)。消費支出全体は物価変動の影響を除いた「実質」で6.0%減となり、減少幅は消費税増税後の2019年10月の5.1%減を上回った。
クロレラやローヤルゼリーなどサプリメント剤型を中心とする健康保持用摂取品の支出は実質5.6%増。世帯類型別に見ると、在宅勤務が進んだ勤労者世帯が12.1%増(実数と比較した名目での数値)と大幅に支出を増やした。2 人以上世帯のうち勤労者世帯の実収入は1.5%増で3ヵ月連続の増加となる中、消費支出は8.1%減。支出全体は“節約”に向いているようだ。統計局では「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛等により減少した品目がある一方、一部の品目では、いわゆる巣ごもり需要等による増加も見られており、今後の動向に注視が必要」としている。
■ビタミン、プロポリスなど急伸
日本通信販売協会(正会員440社)が8 日に発表した3 月の通信販売売上高調査では、理事社・監事社を中心とする137社の総売上高は1,164億9,700万円で、前年同月比0.6%増。食料品が72億7,400万円で同23.6%増と急伸した一方、衣料品、化粧品、健康食品、通信教育・サービスが伸び悩んだ。
健康食品は133億2,500万円で同2.2%減。通販協によると、プロポリスの売上高が急伸した企業があったという。“巣ごもり”で通販の活用は進んでおり、新たなニーズを生み出している。ファンケルがまとめた4 月のサプリメント通販売上動向によると、最も伸びたのはビタミンDで、前年同時期の3 倍以上となった。2 位は『牡蠣&ウコンたのもし』で約9 割増。「自宅でお酒を飲む機会が増えたことが原因」と分析している。このほかプロポリスが約8 割増となった。「健康維持に欠かせない必須栄養素のサプリや、免疫への働きが注目されたサプリ、食べすぎや飲みすぎを気にする人のサプリ、抗ストレスや睡眠系サプリなどの売り上げが上がっている」としている。新日本製薬では、外出自粛が広がったが主力の通販チャネルに大きな影響はないとしている。健康食品では『青汁サラダPLUS』や『菌活習慣』が好調という。
本記事の続きは「健康産業新聞1692号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこしちら
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