拡大が続くスポーツニュートリション市場。牽引するプロテイン、アミノ酸関連商品の2019年の市場規模は650億円を超えたとみられる。特にプロテインは、アスリートの利用だけでなく、スポーツ人口の増加に伴い、運動意識の高いスポーツ愛好家や、健康美を望む女性、アクティブシニアなどユーザーのすそ野が拡大。年率2ケタ増の成長となった。一方、今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により東京オリンピックをはじめとした国際イベントが相次いで中止や延期に。各社、売上の予測を立てるのが難しい局面を迎えているが、“巣ごもり”に伴う運動不足を解消するサポート商品として新たなユーザーの獲得につながっているケースも。また、盛り上がりをみせる「eスポーツ」市場に参入する企業も出てきている。
■運動・スポーツ、週1回以上は5割強
スポーツ庁が2 月に発表した「令和元年度スポーツの実施状況等に関する世論調査」によれば、週1回以上のスポーツ実施率は、53.6%(前年度55.1%)だった。前年度を下回ったものの、5 年前に比べて10ポイント以上増えており、運動・スポーツへの関心は引き続き高い。運動・スポーツを実施する理由は、「健康のため」( 7 3 . 9 % )、「体力増進・維持のため」(53.9%)のほか、「筋力増進・維持のため」(37.7%)、「肥満解消、ダイエットのため」(30.4%)といった回答も目立った。また、「レジャー白書2019」によると、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなど余暇をスポーツに充てる人は年々増加にある。2018年のフィットネスクラブ市場は、4,800億円(前年比4.1%増)で過去最高を記録。7 年連続での成長となった。既存店に加えて、専門化した小規模クラブ、24時間型セルフサービスジムなども増え、多様化が進んでいる。こうした中、ティップネス、野村不動産&ライフ&スポーツなど自社ブランドのサプリメントを展開する動きも目立つ。
■プロテインが拡大ユーザーのすそ野広がる
スポーツニュートリション市場を支えるプロテインとアミノ酸。アミノ酸はクレアチン、L-シトルリン、L-カルニチン、BCAA、HMBなどが流通。新素材ではβ-アラニンの供給も始まっている。昨年の市場は、サプリメント、ゼリー飲料は堅調に推移したが、冷夏の影響もありドリンクは伸び悩んだ。プロテインは好調で、主要メーカーの聞き取りから2019年のプロテイン(パウダー)は400億円強で前年比2 ケタ増の伸び率と推測される。本紙が受託加工・製造企業に実施している定期調査の「人気受注素材」ランキングでもプロテインは、乳酸菌、コラーゲンに次いで3 位にランクインしている。ホエイ、カゼインといったミルク由来プロテイン、女性に人気の大豆プロテインのほか、エンドウ豆、パンプキン、ローヤルゼリー、サケ白子、卵白、ヘンプ、チア由来など特色あるプロテインが流通。最近では、コオロギなど昆虫由来のプロテインも登場している。
商品開発も相変わらず活発。今年だけでも明治、アサヒグループ食品、ディーエイチシー、UHA味覚糖、THINKフィットネス、ティップネス、RIZAP、マツモトキヨシホールディングス、サッポロドラッグスアーなど、様々な企業が新商品を投入している。近年の傾向として、スポーツ愛好家や、引き締まったボディを望む女性、アクティブシニアをターゲットにした商品が目立つ。ひと昔前は、“プロテイン=筋肉増強”というイメージが強かったが、今は“体に必要な栄養素の1 つ”ということが認知され始め、幅広い層に支持されるようになった。
スポーツニュートリション市場では、プロテイン、アミノ酸のほか、アスタキサンチン、植物発酵エキス、乳酸菌、イミダゾールジペプチド、エラスチン、ライチ由来ポリフェノール、ボスウェリアセラータ、タートチェリー、オレンジ抽出物、モリンガ、テフなどが流通。筋肉量・筋力の強化・維持、疲労回復作用、持久力向上など、エビデンスデータをもとに、スポーツサプリ向け素材として利用されている。
本記事の続きは「健康産業新聞1692号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこちら
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