統合医療

厚労省、統合医療プロジェクトチーム会合を開催

 統合医療推進に向け、2月に発足した厚生労働省の「統合医療に関するプロジェクトチーム(PT)」は4月26日、第2回会合を開いた。
 会合では厚生労働省のほか、文部科学省や環境省などで行われた省内外調査の結果報告が行われたほか、統合医療の現状と課題について、有識者を招いたヒアリングが行われた。


 統合医療PTは、政府与党である民主党の政権公約にある「統合医療の普及と推進」の実現に向け設置された。PTのトップには足立信也大臣政務官を据え、医政局長や関係部署の課長クラスで構成。①統合医療に関する現状把握、②統合医療に関する今後の方策の検討――を目的としている。
 会合では統合医療の現状と課題について、統合医療の有識者である日本東洋医学サミット会議(JLOM)の寺澤捷年議長と日本統合医療学会の渥美和彦理事長を招き、ヒアリングを行った。寺澤議長は、漢方を軸とした統合医療の有用性について述べ、JLOMとして漢方方剤の二重盲検臨床比較試験や症例集積研究を行っていることを話した。このほか生薬の成分分析、薬理作用の評価、漢方医学で捉えられている病体の化学的解明などの研究を進めているといい、「国民の健康増進、疾病予防・治療において、統合医療の視点は不可欠。そのために科学的根拠の解明を進展させなければならない」とした。
 また渥美理事長は、米国をはじめアジア、インドなど海外各国が統合医療を導入している事例を紹介。今後取り組むべき課題として、安全性や有用性および経済性の総合的な研究を行うべきと説明したほか、①統合医療の専門家を含めた国家戦略調査委員会の発足、②国内および諸外国における統合医療の現状調査、③立案、管理ならびにデータバンクとしての戦略的統合医療センターの設置―を挙げ、国策として、人材育成と臨床研究を行える実践的な施設作りの必要性を唱えた。
 会合ではこのほか、2月5日の初会合以降、厚労省はじめ文部科学省、環境省などが行った統合医療の現状把握を目的とする「省内外調査結果」を報告。調査は①研究事業のテーマ、②予算事業の内容、③関係団体の要望書―といった内容で調査。PTでは今後の取り組みとして、国民が適切に統合医療を選択できるように、関連情報の収集・発信のあり方について、今年度中に検討に入る方針を固めた。
 厚労省は今年度、科学研究費の予算を拡幅。昨年度予算(8361万3,000円)の10倍以上となる10億円を充て、統合医療の調査研究に乗り出し、来年度予算の概算要求に合わせて検討作業を進めていく。

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