国内外でSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取組が進められている。日本では2016年に設置されたSDGs推進本部主導のもと、民間企業・地方自治体等から様々な持続可能なロールモデルが引き上げられている。食品業界では、未利用資源の積極活用、重油の使用量削減、たい肥による二酸化炭素抑制といった取組が見られる。一方で大手中心の傾向は否めず、中小企業も含めたバリューチェーンの形成が進む欧米諸国に後れを取っている現状も。グローバル化の進む現代、健食業界にもSDGsの視点が求められている。
■国連「より野心的な行動を」
SDGsは、2015年9 月の国連サミットにて加盟国の全会一致で採択された国際目標。経済・社会・環境のバランスがとれた国際社会を形成することを目的とし、「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「つくる責任つかう責任」など17の目標と169のターゲットが設定されている。食品ロス、雇用、男女平等、環境維持、教育などターゲットの幅が広く、先進国、途上国の垣根なく、あらゆる産業、業界の協力が求められている。一方で、加盟国間の取組進捗にもバラつきがあるのが実情で、昨年9 月の国連サミットでは加盟国に対して「より野心的な10年の行動」が要求されている。
■欧米では中小企業の参画も
欧米では、大手から中小企業までSDGsへの関心を共有するサプライチェーンが強化されている。世界に先駆けて積極的な取組が広がるEUでは、500人以上の従業員を持つ大企業に対してSDGsに関する報告が義務化されている。スウェーデン、デンマーク、ドイツ、フランスなどでは、中小企業含む8 割以上の企業がSDGsへの取り組みを推進。食品、農業、医療など幅広い分野に広がりを見せている。デンマークのクリスチャン・ハンセン社は、農産物への化学農薬の使用削減、収穫の増加を同時に推進する微生物ソリューションにより、アフリカの発展途上国の持続可能な農業、収穫を支援する。スイスのノバルティス社では、低所得国に対する平均1 米ドルの低価格医薬品の提供を強化。診断や治療のリテラシー向上を目指し、各国政府、医療団体とのパートナーシップ形成にも注力している。
米国では、SDGsを目指す取り組みの一環として、食品の安全性・品質基準、エシカル、オーガニック・非遺伝子組み換え、エコ・サステナブル、ヴィーガン・ベジタリアンなど認証ラベル利用が拡大。Informaの発表では、世界最大の自然食品見本市「ナチュラルプロダクトエクスポ2019」に出品された健康食品・飲料の78%が少なくとも1 つの認証を取得。新たに出品された商品の半数以上が2 つ以上の認証を取得している。Informaヘルス&ニュートリション部門副社長のJon Benningerは「近年アメリカの消費者は、商品のもつ健康機能だけではなく、環境に配慮した持続性のあるパッケージや生産方法を重視している」と話す。
本記事の続きは「健康産業新聞1692号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこちら
■「受託製造企業ガイドブック2017年版」 好評販売中■
2012年版を全面改定し、「機能性表示食品への対応」を追加。各社の概要、特色、業況、連絡先がこの一冊に。健康食品・化粧品の製造、各種試験・分析依頼、原料調達などに、ぜひ本書をご活用ください。⇒詳しくはこちら!