美容・関節系の豊富なエビデンスを背景に、プロテオグリカン(以下PG)の市場拡大が続いている。原料は、北海道産サケ鼻軟骨由来を中心に、サメ軟骨、イカ軟骨由来などが流通しており、サケ鼻軟骨由来の原料製造量は健食・化粧品用途ともに2ケタ増となった。特に関節系サプリの引き合いは著しく、機能性表示食品は30品目を超えた。化粧品用途での体感性も高いリピート率を維持し、新規取り扱い企業も増加。本格的な原料供給開始から10年を迎える2020年、PGの市場規模は500億円の大台が見えてきた。
◆青森県の産学官連携を機に高成長続く
プロテオグリカン(PG)は、美容系や関節系の豊富なエビデンスを背景に、健康食品、化粧品ともに2 ケタ増で推移している。
PGを核に健康・美容関連産業クラスターの形成を目指す青森県では、あおもりPG推進協議会加入企業(全73社:県内企業43社)を対象とするPG商品数と累計製造出荷額(令和元年9 月末現在)が296品目・約244億8,000万円(前年275品目・196億8,000万円)と約50億円増加。北海道産PGの流通を加えた昨年の市場規模400億円突破以降、今回450億円超が確実で、500億円の大台も見えてきた。
◆世界初PG配合商品上市から10年
PGは、コアタンパク質と、糖鎖の一種であるグリコサミノグリカンが幹と枝のような一定様式で結合している分子の総称。
人間を含む全動物の軟骨や皮膚などに豊富に存在し、細胞と細胞の間を埋めて固定化する役割を担い、足りなくなると肌のシワや関節痛などが誘発される。もともと牛や鯨などの軟骨を原料に、薬品を使用した複雑な工程による精製で「1 g 3,000万円の研究試料」「夢の機能性成分」だったが、2000年に弘前大学と㈱角弘による共同研究で、サケの鼻軟骨を原料に、人体に安全な食用酢酸とアルコールだけを使い、従来の1,000分の1 以下のコストで大量かつ高純度のPGを抽出する技術を確立された。
低コスト化に伴い、2009年頃より、健食向け原料サプライヤーの取り扱いも活発化。プロテオグリカン配合製品の販売メーカーは、「当時、試作品として開発したが、後発商品の上市が相次ぐ現在でも売り上げはいまだ衰えず、安定した伸びを続けている」と話す。
◆豊富なエビデンスと体感性
2 ケタ成長を続けるPGの旺盛な新規採用の背景には、美容・関節系のデータが豊富な点や、体感性で高いリピート率に繋がる点がある。
弘前大学では、①炎症抑制作用、②炎症性腸疾患に対する効果、③神経疾患のひとつである多発性硬化症に対する効果、④関節炎に対する効果、⑤腸内細菌フローラの明らかな変化、⑥呼吸器炎症に対するアレルギー反応緩和作用―― などを確認している。
一方、美容系では、EGF様作用、線維芽細胞増殖促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、Ⅰ型コラーゲン産生促進作用のほか、ヒトモニター試験でのタルミ改善作用、弾力改善作用、シワ改善作用、角質状態改善作用、色素沈着改善作用、保湿作用などが確認されている。
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