42年連続日本一の製造品出荷額を誇る愛知県には、“ものづくり王国”としての風土が根付いている。東京、大阪に次ぐ三大都市圏のひとつとして商業、貿易、農産物生産なども盛んなバランスの取れた産業構造を形成。原料供給や受託製造など健康産業で活躍する県内企業の事業展開にも色濃く浸透している。食卓の彩りに欠かせない醤油やみりん、味噌、ソースほか、野菜漬物、製パン・製菓、生菓子などの健康志向を模索した研究開発も活発だ。
■ 主食から調味料まで全国トップクラス
“ものづくり王国”愛知県の食品産業は、米、麦、漬物、味噌、醤油、みりん、ソースなど、日常の食卓に欠かせない主食から調味料までを広範囲にカバーしている。大きな特徴は、これらの製造出荷額が全国トップクラスである点だ。
総務省「平成30（2018）年工業統計表」によると、愛知県の食品製造出荷額全国ランキングには、1 位に野菜缶詰（瓶詰・つぼ詰）、菓子パン、洋生菓子、和生菓子、ブドウ糖、でんぷん、そのた酵母剤などが並び、2 位に味噌、ウスター・中濃・濃厚ソース、精米、豆腐、飴菓子、ビスケット・干菓子など、3 位に醤油、みりん、こうじ・種こうじ・麦芽、配合飼料などと続く。栄養補助食品（錠剤・カプセル等の形状のもの）は全国19位。
こうした背景から、健康産業で活躍する愛知県内事業者は、食品産業全体から健康産業を俯瞰してみることで、健康食品だけでなく、一般食品分野へも機能性を付加する新たな提案が活発だ。「クロレラ」で長年の供給実績を有するサンライフ㈱は、“安心と信頼のマテリアル素材”として、「クロレラ」以外にも「スピルリナ」や「シジミエキスパウダー」など幅広い原料アイテムを揃え、サプリメントから一般食品まで多分野における採用実績を有する。
南米原料の専門商社である㈱サンシントレーディングは、ビタミンC高含有のカムカムの引き合いが強く、健康食品や一般食品、外食産業での拡大を狙うほか、新素材としてマテエキス末の供給も開始している。創業50年の日興薬品工業は、県を代表する健康・美容飲料受託メーカー。飲料はもとより、ゼリーやペースト食品の製造も可能で、小型瓶から中・大型瓶、アルミボトル缶、Tパウチ、三方シールまで様々な容器形態を揃え、顧客ニーズにフレキシブルに対応。国内では乳酸菌飲料が伸びているほか、海外向け飲料の受注も好調に推移している。
青果を健食提案するユニークな企業も。青果物の輸入販売を手掛けるアクティブインターナショナル㈱は、輸入果実で国内初の機能性表示食品『breeze（ブリーズ）』『Sonya（ソニヤ）』を販売。いずれもニュージーランド産リンゴで内臓脂肪低減を訴求している。
■ 県認定『愛知ブランド』の優良企業も
ものづくり日本一の実力を国内外にアピールするため、愛知県では平成15年より、世界に誇る“オンリーワン”や“シェアトップ”の製品・技術を持つ企業を『愛知ブランド』として認定している。認定企業は386社（2020年3 月現在）、うち食品製造業は約40社。愛知県産業労働部によると、「認定基準は、技術や製品、業務プロセスにおける独自の強み等の項目について、評議員全員がOKを出さなければ認定されない」という。
認定で売上が伸びるわけではないものの、それでも認定を行う企業の顔触れを見ると、製造技術に対する熱意、誠意、こだわりなどが伝わってくる。認定企業のオリザ油化㈱は、世界初や国内初の商品開発スピードや植物原料の有用性・安全性・企画力が評価された。昨年80周年を迎えており、植物由来のオリジナル健食素材を70種類以上揃える。グローバル市場におけるSDGs対応素材への要望の高まりを受け、このほど取扱原料『紫茶エキス』について、売上の一部をアフリカ女性の活動を支援するSDGsの取り組みをスタートしている。
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