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ZOOMUP【塩】オンライン料理教室などWEB,SNS活用で「巣ごもり需要」にアプローチ

食卓塩・低価格のPB塩、こだわりの製法による国産塩、世界各国の輸入塩など、市場には多種多様な塩が流通している。加工食品では“こだわり塩”を使用したゼリー飲料やペットボトル飲料、和洋菓子、乾物、漬物とのコラボ商材のほか、熱中症対策に照準を合わせた経口補水液や塩飴、塩ドリンクといった商品化も目立つ。コロナ禍で外出自粛が続く今年は、塩メーカーによるテイクアウトや中食向けの提案のほか、オンラインによる料理教室開催といった新たな動きも。需要喚起に向けた各社の提案が活発化している。

■ 塩需給見通し“業務用”11%減少コロナ禍で外食用途が減少

 財務省が毎年統計を出している「塩需給見通し」によると、令和2 年度の塩需給量は、「生活用」で13.1万tとなり、前年比で6.5%の減少に。「業務用」(食料品その他の物質の製造、融氷雪用等に使用)については、176.7万tで前年比11%の減少となった。

 家庭用塩について、取材先からは「昨年の値上げによる駆け込み需要の反動」を指摘する声も。業務用については、「新型コロナによる外出自粛の影響が大きい」との声が聞かれ、外食需要の不振が需要減に拍車をかけたことがうかがえる。

 今後の取り組みについては、「テイクアウトや中食を中心に、安心・安全をキーワードにした商材を提案していく」「塩の製法や品質といったこだわり塩で差別化提案を進めていく」「オンラインによる料理教室・レシピ提案を行っていく」といった声があがっている。

■ 「こだわり塩」で差別化提案

 海水におけるマイクロプラスチック問題など、近年は塩作りに欠かせない環境問題がメディアなどでクローズアップされ、消費者の“安心・安全”を求めるニーズはより一層高まっている。こうしたなか、海水汚染のないオーストラリア・シャークベイやメキシコの海水でつくる天日塩など、塩メーカー各社による“安心・安全な産地”を訴求する差別化戦略が活発化している。

 市場では、「自然塩を残したい」という消費者運動から生まれた塩も存在感を示している。この自然塩運動は高度経済成長期に起こったもの。塩田による製塩法の廃止を契機に運動がはじまり、約5 万人の署名を集めたことが知られている。メーカーによると、「塩化ナトリウムだけでなく、海水に含まれているマグネシウムやカルシウム、カリウムなど、様々なにがり成分を含んだ自然塩は、長年愛用するリピーターも多い」という。

■ 「用途提案」「コラボ」「パッケージ工夫」需要喚起に向けた提案加速

 店頭での複数陳列で、需要増を図る動きもある。量販店や百貨店、輸入食品専門店、ドラッグストアなどで流通する塩は現在、「塩売場」のほか、「精肉」「鮮魚」「青果」売場での展開も。各食材にマッチした用途提案で新たな需要を喚起する動きが進んでいる。

 加工食品とのコラボ戦略も目立つ。塩味を利かせたキャラメルや塩クリームの洋菓子、塩羊羹などの和菓子、塩味を付けた焼き海苔など、こだわり塩による付加価値提案が活発化している。このほか、パッケージデザインの工夫で需要喚起を図る動きも。消費者ニーズが多様化するなか、かわいいキャラクターを活用した商品化もみられはじめた。取材先からは、「昨今ではパッケージのコレクターもいる」との声が聞かれ、味わいのみならず、デザインの良さで市場を開拓していく取り組みもあるようだ。

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