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連載【話題追跡】昆虫食は市場に定着するのか?

「昆虫食が即日完売に?」――。無印良品を展開する良品計画は5月20日、「コオロギせんべい」を発売した。初回納品分を即日完売し、再度納品分もほぼ1日で完売。未開の地ともいえる昆虫食市場に新たな一石を投じた。この昆虫食、日経トレンディ2020が下半期のヒット予測にピックアップするなど、にわかに注目度が上昇している。

「もともとマニアや罰ゲーム向けだった」――。こう語るのは、製菓メーカー・MNHの担当者。即日完売のコオロギせんべいの登場で、「引き合いが増えた」という。

同社は、『未来コオロギ』『柿の種+パウダー』など、いわゆる企画ものを展開。量販店や書店、ホームセンターなどで販売を行う。購入層は10~20代。意外にも女性層が半分を占めている。購入動機は「新しいモノに対する興味」と分析する。

市場には「昆虫食自販機」も登場した。昆虫食通販を手掛けるアールオーエヌは、上野アメ横など全国8ヵ所で自販機を設置。“姿カタチそのもの”の昆虫食や、パウダーを使ったプロテインバーなどを取り扱う。担当者によると、「購入者層は女性が半分。昆虫の“姿そのもの”も根強い人気があるが、昨今はパウダーモノが売れる傾向にある」という。

エサの工夫などで“味・風味”を追求した昆虫食も。昆虫食の販売・製造・研究開発を手掛けるTAKEOは、『昆虫煮干し京都こおろぎ』を展開。京野菜をたっぷり食べさせた国産コオロギを、こだわり塩(沖縄の海水塩・青い海)で煮干しに。炊き込みご飯でも美味しいという。

「将来の代替たんぱく質として、蚕のポテンシャルを示したい」――。蚕を原料にしたハンバーガーなどを手掛けるエリーの梶栗隆弘氏は、開発の経緯をこう語る。「世界で競争できる将来性ある昆虫を考えたとき、日本がトップレベルの研究知見を有する蚕に着目した」という。現在は京都大学と東京大学で機能性研究を実施中で、「蚕に100種類以上の健康機能性成分を含むことが判明した」としている。

昆虫食の新たな可能性を探る動きは、「メタボ予防」「中性脂肪」をテーマにした機能性研究にも波及している。山口大学農学部准教授の井内良仁氏は、「栄養のみならず、“健康増進”という付加価値をつけることが昆虫食普及に必要」と指摘。マウス実験では、「トノサマバッタを与えたグループの体重増加と脂肪蓄積抑制を認めた。今後はどの成分が作用しているか特定していきたい」という。

今年は、行政の取り組みも加速しており…

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