胃腸のトラブルは、暴飲暴食、疲労、睡眠不足をはじめとした生活習慣の乱れに加え、日常生活における様々なストレスが原因。30~40代の3割が「胃腸不調」を感じているという調査結果も。“胃腸の不調は万病の元”とも言われ、現代病の1つと言える。こうした中、胃腸トラブルにおける予防の1つとして医薬品に頼らない日常的にケアできる健康食品の利用も進んでいる。“胃の健康”分野では、胃粘膜の保護作用や、抗ピロリ菌作用などを有する機能性素材が流通。「食後の胃の負担をやわらげる」という胃に関する初の機能性表示食品も登場している。腸に関しては、腸内フローラへの関心が一層高まっているほか、脳腸相関研究の進展から「第二の脳」としても注目されている。市場では、乳酸菌をはじめとした定番素材以外にもエビデンスデータを有する独自素材の提案に各社力を入れる。
■ “胃腸の不調は万病の元”
胃腸のトラブルを抱える人は男女ともに多い。「平成28年国民生活基礎調査」によると、「胃のもたれ・むねやけ」の自覚症状がある有訴者率は、人口千人あたり男性19.2、女性27.4。加齢とともに有訴者率は増加している。
養命酒製造が昨年、30・40代のビジネスパーソン1,000人を対象に行った「胃腸不調と疲れ」に関する調査では、約3 割が「胃腸不調を感じる」と回答。そのうち、92.4%が「体力の低下」を、74.6%が「体が重い」と感じていた。また、43.3%が「風邪をひきやすい」と回答。自身の抵抗力の弱さを気にしていることがうかがえた。
こうした調査からも胃腸がスムーズに機能しているかどうかが健康のバロメーターになっていると言える。胃腸は毎日大量の食物を消化吸収することから様々なトラブルが生じやすい。ストレスや過労が胃粘膜の急性炎症を引き起こすほか、感染性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの原因になることもわかっている。
■ 健胃、抗ピロリ菌作用などサポート素材が多数
胃の働きをサポートする食品素材は、伝承的に利用されてきたものが多い。霊芝、カバノアナタケといったキノコ類や、ガジュツ、梅肉エキス、フコイダン、マヌカハニー、アロエ、ヨモギなどが挙げられる。食欲促進や消化増進では、レモングラス、ジンジャー、シソなどが知られている。
機能性表示食品では昨年、ヤクルト本社の乳製品乳酸菌飲料『BF-1(ビーエフワン)』が「食後の胃の負担をやわらげる」という表示内容で届出受理された。機能性関与成分はB.ビフィダムY株(B.ビフィダムYIT 10347)で、胃に関する初の機能性表示食品となった。
■「腸の健康」、独自素材の提案活発 海外では“Gut Health”で注目
腸サポート食品は、乳酸菌、ビフィズス菌、オリゴ糖、食物繊維、イヌリン、難消化性デキストリンなど多数の機能性素材が流通。機能性研究も活発で腸の健康維持、免疫賦活、抗アレルギー、保湿効果などのほか、脳腸相関の概念から腸の健康と認知症の関係に関する研究成果も増えている。
海外では、消化器系の健康を意味する“ダイジェスティブヘルス”商材が定着。近年は、腸の健康を意味する“Gut Health”もトレンドになっており、国内市場への波及効果にも期待される。
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