機能性表示食品の受理件数が300品を超えるGABA。トクホの許可実績がある「血圧」以外に、「ストレス」「疲労」「睡眠」などの機能性表示が可能となり『ネルノダ』シリーズなど人気商品も出ている。また、原料サプライヤー主導によるエビデンスのデータ蓄積が進み、「肌弾力の維持」「認知機能」といった新たヘルスクレームにも注目が集まっている。
「高めの血圧を下げる」「精神的なストレスを緩和」「ストレスや疲労感を軽減」「睡眠の質を向上」「すっきりとした目覚めをサポート」「一時的な活気・活力感の低下を軽減する」――など、GABAの健康機能を謳う機能性表示食品を見かける機会が増えている。
もともと、GABAは「血圧が高めの方に適した食品」としてトクホの関与成分に利用されていたが、2015年度に始まった機能性表示食品制度により、「血圧」分野だけにとどまらず、他の健康機能による機能性表示食品が増加した。初年度こそ10品目台の受理件数だったが、年々受理品が増え、現在GABAを関与成分とした機能性表示食品は300品目(単独配合のみを集計)を突破。難消化性デキストリンを抜き、全ての機能性成分の中でトップに踊り出た。
『カゴメ野菜ジュース』(血圧)、江崎グリコの『メンタルバランスチョコレート』(ストレス)といった代表的な商品のほか、昨春にはハウスウェルネスフーズが睡眠の質の向上に役立つ機能性表示食品『ネルノダ』シリーズを発売、1 年経たずに累計出荷量500万個を突破するヒット商品に。
生鮮食品では、ドールが5 月から「血圧が高めの方の血圧を下げる」バナナの販売を開始している。また全体の傾向として「血圧、疲労」「快眠、ストレス」「快眠、気分、疲労」など、ダブル、トリプル表示の商品も目立つ。
GABAの受理件数が増えている背景には、①謳える健康機能が複数あること、②比較的少量(約20~100mg)で利用できること、③熱や酸に強く、飲料、サプリメント、菓子類など、幅広い食品形態に利用できる汎用性の高さなどが挙げられる。
TPCマーケティングリサーチの調査によると、2019年度のGABAの原料販売量は21 t 。機能性表示食品制度以前は10 t 台だったことから、2 倍以上に拡大している。トップサプライヤーのファーマフーズは、機能性表示対応素材『ファーマギャバ』が好調で、同原料の売上高(2020年7 月期第3 四半期)は、前年同期比55.6%増を達成した。
酒蔵の発酵技術を生かして、米ぬか由来のGABAを供給する秋田銘醸は、GABAの供給量が前年比35%伸びていることから製造ラインの増築に着手。秋田大学らと共同研究を行い、届出を視野にエビデンスのデータ蓄積を進めていく。
新分野では、ファーマフーズが、三菱商事ライフサイエンスと共同で機能性研究を推進。臨床試験で認知機能の向上作用を確認、ヘルスクレームの拡充につなげる方針。三和酒類は、独自素材『大麦乳酸発酵液ギャバ』配合製品でGABA初の「肌」分野で受理された。オリザ油化も肌分野に関するSRを終え、届出サポートを行っていくという。
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