アマニ油、エゴマ・シソ油、米油などを中心とした「新油」市場の拡大が顕著だ。マーケットサイズは2014年(90億円)の3倍に拡大、280億円に到達している(日清オイリオグループ調査)。ブームから定着、そして拡大――追い風となっているのは「相次ぐ大手参入」と「機能性表示食品の登場」「ネクストオイルの台頭」だ。本特集では、「n-3系脂肪酸の補給源」として認知拡大が進むアマニ油・エゴマ油のほか、アレルギー・グルテンフリーで注目高まる米油、不飽和脂肪酸をバランスよく含有するカメリナオイル、コスメおよび食品分野で需要高まるアルガンオイルなど、注目の機能性植物油を紹介する。
■新油市場、300億円視野に
日清オイリオグループの定点調査によると、2019年の家庭用油市場は1,540億円(前年比103%)の過去最大規模に。内訳はオリーブオイル428億円、キャノーラオイル394億円。“かけるオイル”戦略が奏功し、オリーブオイルは2018年からナンバーワンカテゴリーとなった。
家庭用油は、今年3 月以降から新型コロナウイルスの影響が出始めており、巣ごもりによる一定の特需はあるものの、外食自粛・学校給食中止などの影響が色濃いようだ。
アマニ油、エゴマ・シソ油、米油などを中心とした「新油」市場は280億円超に。2014年(90億円)、2017年(170億円)、2018年(250億円)と年々拡大している。種類別のシェアは、ゴマ油296億円、アマニ油111億円、米油76億円、エゴマ・シソ油74億円、ココナッツオイル12億円、その他(中鎖脂肪酸油)8.5億円。“サプリ的オイル”“食べるオイル”として、サプリメントから一般食品まで、さまざまな分野で商品化されている。
■アマニ油、100億円の大台突破
新油市場が好調な背景には、「相次ぐ大手参入」「機能性表示食品の登場」「ネクストオイルの台頭」がある。
なかでも伸長著しいにはアマニ油だ。市場規模は前年比113%となり、100億円の大台を突破した。“健康のワンスプーン”として、TVの健康番組で再三に亘り放映されたことも追い風に。昨夏には「満点☆青空レストラン」(日テレ)で北海道・当別町のアマニの栽培・搾油風景を放映、番組内では、本紙の「注目の植物油特集」も紹介された。
日本経済新聞では、「何にでもOK アマニ油若者つかみ異例の復活」として、一過性のブームでスーパーの棚から消えるジャンルが多い中、アマニ油が若年層の取り込み、ここ1 ~ 2 年で盛り返したことを報じている。
「大手参入」では、パイオニアである日本製粉をはじめ、日清オイリオグループ、キユーピー、J-オイルミルズなど、大手各社が積極展開、相次いで新商品を上市している。先月20日には、日本製粉が機能性表示食品『アマニ習慣』を投入、J-オイルミルズでは、太田油脂との共同開発品として、鮮度キープボトルで製品化したアマニ油を今月20日に発売するなど、「かけるオイル」「サプリ的オイル」をキーワードとした新商品上市ラッシュは今後も続きそうだ。
機能性表示食品に関しては、日清オイリオグループ、キユーピーの「血圧」対応、日本製粉の「悪玉コレステロール」対策などでの受理が代表的。大手百貨店のバイヤーによると、「油分野における機能性表示食品に期待している。普段使いの商品に付加価値を与えられるのは大きなアドバンテージだ」としている。
■主婦に刺さる日本発の植物油「米油」
耐熱性が高いことから食品用途を中心に幅広い採用実績があるのは「米油」。裾野は着実に広がっており、アレルギー・グルテンフリー油として注目されるほか、油切れが良く(油酔いが起こりにくい)ことから、揚げ物料理での利用が進むなど、外食産業での採用が目立つ。約30ヵ国への輸出実績を有する米油サプライヤーによると、2020年3 月~ 5 月のPOSデータを調査した結果、「米油の売上は前年同期比で42%増と高い伸びを示した」とする。
そのほか、「新油」市場にはネクストオイル(カメリナ、アルガン、チアシード、ココナッツ、ヘンプなど)が続々登場しており、さらなる市場拡大が期待される。川上分野では、パナソニックが「えごまドレッシング」を発表し話題を呼んだように、植物工場を活用した原料栽培に複数の異業種大手が名乗りを上げている。
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