北陸地域では、豊富なアカデミアと全国的にも知名度の高い企業が集積。産学官連携で地域特産品を活用した健康食品・化粧品開発も盛んだ。富山県では健康・美容分野から再生医療や介護分野での活用まで広がりを見せる富山湾の海洋深層水、富山市が特産化を推進するエゴマ、石川県では血糖値や血圧降下作用を持つ加賀野菜「金時草」や、発酵素材・技術を用いた健康食品・化粧品開発、福井県では特産品の梅やラッキョウを用いた健康食品、新たにサバ由来アミノ酸ペプチドの血栓予防効果の解明――など、独自性に富んだ取り組みが目白押しだ。
■ 富山県は全国区の健食・飲料受託企業の集積地、「海洋深層水」「エゴマ」好調
北陸地域には伝統技術を持つメーカーが多く、富山大学や富山県立大学、金沢大学、福井大学などのアカデミアも充実している。産学官連携も盛んに行われており、地域特産品を活用したオリジナリティに溢れた健康食品・化粧品素材および最終製品を数多く輩出している。
富山県は、「とやまの置き薬」で知られ、医薬品関連企業が100社以上在籍する。健康食品分野でも全国的に知名度の高い受託メーカーが応用する企業が多い。代表格はバイホロンや協和薬品。他にも小ロットOEMが強みの明健舎やアニマート製薬、明治薬品、啓伸――などが本社工場を構える。
また“水の王国”とも呼ばれる、立山連峰の伏流水や富山湾の海洋深層水など豊富な水資源を活用する飲料メーカーも多い。健康・美容飲料やゼリーを手掛けるトンボ飲料や八千代ドリンクス、水素水の老舗・TEDなどが有名だ。
地域特産物を用いた健康・美容製品の開発も活発だ。海洋深層水では、富山県深層水協議会の主要メンバーである五洲薬品が、医療・介護分野向けの等張液や補水対策製品、バスソルト、化粧品など豊富な商品開発実績を持つ。
また富山市では、『富山えごま』の特産化を推進。県内４社が出資して設立した農業生産法人健菜堂がエゴマの栽培から加工・販売を受託。今年は油の売れ行きが好調という。
■ 石川県の「金時草」、福井県の「梅」「サバ」など、特産品の機能性研究進む
石川県では、金沢大学で加賀野菜「金時草」の機能性研究をサポートしてきた太田富久名誉教授の研究成果を事業化するOHTA太田富久研究所が、ハトムギエキスや乳酸菌、菌類子実体、米麹などの原料・OEM供給を展開。またスッポンの養殖から加工・販売を40年以上手掛けるジャパンウェルネストレードは、新工場および倉庫の完成に伴い、健康食品の受託事業を拡大。他にも魚醤やかぶら寿司、こんか漬けなど県内の伝統的な発酵食品・技術的着目し、産学官連携で健康食品や化粧品の研究開発を進める企業も少なくない。
福井県ではこれまで、福井県食品加工研究所と県内企業が共同で、県産の梅やラッキョウを用いた各種健康食品の開発実績を持つ。なかでもカワイマテリアルが同分野のリーディング企業。同社は新事業として、県の特産品・サバの魚肉から抽出した2種類のアミノ酸ペプチドに血栓予防効果があることを動物試験で確認。製品化に向けて研究を続けている。
他にも県内には、健食や食品・化粧品原料の粉砕機器販売および受託加工を行うミクロパウテックが在籍、グルコサミン等健食原料メーカーのプロテインケミカルも工場を置く。
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