企業の情報公開請求の急増が原因に
消費者庁が特定保健用食品に関するすべての審査業務を一時中断することを決めたことが8日、本紙の取材でわかった。
特保許可で申請企業が提出した「申請書」について、ライバル企業などが行う情報公開請求の増加が原因。特保審査官の業務量が拡大し、処理能力をオーバーしているという。特保審査を一時中断するため、8月に予定している消費者委員会・新開発食品評価調査会を見送る可能性も出てきた。
事態を打開するにはマンパワーの増強が近道だが、行政機関のスリム化が叫ばれるなか、その可能性は低い。消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」でトクホ審査の透明化が議論され、試験デザインなどについて具体的な枠組みを示す方向にあり、これが進めば解消されるとの見方も。
日本健康・栄養食品協会でも「審査の透明化が進めば、各社は情報公開請求をしない方向に動くだろう」と楽観的だ。「業界団体が情報公開請求の自粛を指導するのも一つの手」との話もあるが、特保をめぐる情報争奪戦は水面下で激化し、情報だけ取られる中小トクホメーカーの叫びもあり、その矛先が情報公開請求に向かっているとの見方もある。企業エゴが、特保制度を止めるという皮肉な状況となっている。