スーパーフードの王様として市場を形成してきたスピルリナ。メディアでの露出を契機に注目を集め、近年ではスムージーや青汁、麺類、菓子類などの一般食品への採用が広がっている。7月にはスピルリナ初の機能性表示食品が受理されたほか、海外展開に向けた新たな取り組みも。各社による需要喚起に向けた取り組みが加速している。
■機能性関与成分「フィコシアニン」「肌のバリア機能(保湿力)」対応で受理
植物性タンパク質(60〜70%)の含量が高く、細胞壁が薄く消化吸収に優れているスピルリナ。特有成分・フィコシアニンをはじめ、ビタミン、ミネラルをバランスよく含有するほか、クロロフィルa、脂肪酸(α-リノレン酸、リノール酸など)、カロテノイド類(β-カロチン、ゼアキサンチン)などを含む。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)への有効性データなどのエビデンスを積み上げながら、「野菜不足解消」「ダイエット時の栄養補給」を訴求ポイントにしてきた。
こうしたなか、機能性表示食品制度において新たな展開が。スピルリナ研究のパイオニア・DICライフテック㈱が7月7日、スピルリナ由来成分・フィコシアニ
ンを機能性関与成分とする『フィコナ スキン モイストリフティング タブレット』(届出番号:F93)で初の受理。表示は、「本品にはフィコシアニン、アロフィコシアニンが含まれるので、肌のバリア機能(保湿力)を高めて、肌のうるおいを守る機能があります。肌の乾燥が気になる方に適しています」。機能性については、最終製品を用いたヒト臨床試験で評価している。スピルリナ成分初の機能性表示食品は市場の起爆剤となるのか。今後の動向に注目が集まっている。
■スーパーフードで市場定着 免疫対策素材としても再注目
日本スーパーフード協会が発表しているトレンド予測では常に上位に名を連ねるスピルリナ。2020年上半期では「スーパー藻類」として6位にランクインした。
取材先によると「スーパーフードとして市場に定着したことに加えて、“体のベースを高める”免疫対策素材として、新規商談が進んでいる」「免疫機能に対する関心が高まる中、免疫サポート素材として国内のみならず、海外からも問い合わせが増えている」「コロナ禍で抗ウイルス作用の学術報告実績がある素材として再評価される傾向なども影響し、スーパーフード素材としてスムージーやドリンクなど各種OEM供給が伸びている」「インバウンド向け商品への供給を落ち着いているものの、“スーパーフード”としての引き合いは好調」などの声が寄せられている。
このほか、「自宅のジューサーで作る“スピルリナ入り青汁”が浸透しつつある」との声も。大麦若葉などを使った自家製青汁に、スピルリナ粉末を活用する動きも広がっているようだ。
スピルリナ配合製品は様々ある中、市場での認知普及の代表格といえるのが“スムージー”。コンビニのローソンでは、スピルリナ配合の「グリーンスムージー」をナチュラルローソンブランドで展開している。2015年の発売以来、スムージーシリーズ累計売上数2億本を達成した。同社では、健康意識の高い女性をターゲットにしており、「栄養素の強化と天然の色付けのためにスピルリナを採用した」としている。
このほか市場では、「青汁」「ゼリー」「バー」などの商品も続々登場。様々な切り口で差別化を図ったスピルリナ配合商品が流通している。
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