㈱ミリオナ化粧品(大阪市中央区)は、医薬部外品(薬用化粧品)および化粧品を中心に、急成長を遂げている化粧品受託メーカー。2020年8月期決算は、新型コロナ禍にあって前年比101%と善戦。なかでも新規顧客開拓は全営業所ベースで前年を上回ったという。今期も製造設備増強や生産効率向上に対する設備投資を積極的に実施していくほか、グループの健食受託メーカー・ラシェル製薬と連携を強化し、内外美容向け新素材の開発・製品化を進めていく。さらに取引先の中国輸出をサポートするシステムも構築中で、受託製造から輸出サポートまでのワンストップサポート体制を目指す。両社の代表取締役・阪本雅哉氏に、事業戦略について話を聞いた。
―― 2020年8月期決算の業況について
2020年8 月期は前年比101%で、目標(115%)に対しては厳しい結果に終わった。
売上を分析した結果、新規顧客の開拓は、新型コロナ禍にあっても各営業所ベースで前年を上回ったが、個店向け本舗や免税店向けの既存顧客の売上が落ち込んだことが要因だと分かった。幸い、既存顧客の受注も回復傾向にあることから、2021年8 月期は今期同様、115%を売上目標に取り組んでいく。
―― 2021年度に計画中の設備投資は
新型コロナの影響で予定していた新工場建設は来期に移行した。代わりに9月以降、加納工場に3,000 ~ 1万個の少量・多品種に対応可能な充填包装ラインを1ライン増設する。
また乳化粒子や粒度分子から、容器の傷、肌・髪の状態も見られる高機能顕微鏡も導入する。これにより製品の安全性をさらに向上させることが可能だ。
さらに2年越しで進めてきた計量システムと連動させた基幹システムを、年内に稼働させる。原料や製品の正確な計量が可能となり、在庫の引き落としなど、ヒューマンエラーの軽減やロットアウトの危機回避に繋がることで、生産効率の向上が図れる。また工場の衛生環境向上のため、高温・冷蔵倉庫なども導入する。
同時に大阪・加納・岡山の各工場で環境改善の内装工事なども実施する。
―― 商品開発面・営業面での取り組みは
美白&抗シワ素材として話題のナイアシンアミド(NMN)について、乳液・ローション・クリーム・美容液で医薬部外品の申請中で、クリーム2品については既に承認を取得。近日中には申請剤形全てで承認が得られる予定だ。
NMNはサプリメント分野でも今年3月、食薬区分リストから外れ、エイジングケア素材として注目されている。グループの健食受託メーカー・ラシェル製薬と連携して、NMNを用いた化粧品・サプリメントのODM提案を進めていく。
また沖縄県産素材を用いた化粧品・サプリメントの開発も進めている。既に化粧品で使用実績のある独自成分『黒砂糖エキス(黒糖オリゴ)』は、有用成分メラノイジンを含有しており、美白、抗炎症、育毛、保湿、整肌(ニキビケア)―― などの作用を確認済みで、医薬部外品の添加剤(保湿剤)としての承認も取得している。食品にも利用可能で、現在食品向けのエビデンスを収集中だ。
さらに沖縄県産の「サトウキビ若葉」も成分分析の結果、総ポリフェノール量が100g中1.2g含まれ、赤ワインやコーヒーの約6倍と非常に多く、なかでもフラボノイド類が豊富なことから、メラニン生成抑制、抗アレルギー、抗酸化、デトックス、免疫賦活――などの作用が期待できる。
現在は独自成分の探索など、大学との共同研究を推進中で、来春には青汁製品や打錠、ハードカプセルとしての製品化を目指す。
ほかにも、新型コロナで需要が伸長している指定医薬部外品のアルコール除菌剤の製造許可も申請中だ。また、スキンケアとしての紫外線対策アイテム、抗菌性能を付与したハンドクリームなど、メイクアップの代替品として唇の血色を高める唇専用の美容液など、従来に無い画期的なスキンケア製品の開発にも着手している。
営業面では、国内はもとより海外営業を強化する。その一環として台湾のパートナー企業の中国支社を現地受入先とした輸出サポートのシステム構築を進めている。
今後は当社が取引先の製品開発から製造、中国への輸出までを一貫してサポートするサービスを提供できるようになる。withコロナ時代でも選ばれるメーカーとなるべく、日々努力していく。
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