サラシア市場が拡大している。富士経済が発表した2019年度のサラシア関連商品の市場規模(見込み)は70億円に。2020年度は84億円に到達すると予測している。機能性表示食品は9月25日現在、54品目に到達。サプリメント形状のほか、「お茶」「ゼリー飲料」「チョコ」などの商品化が進んでいる。原料供給では機能性表示食品のほか、一般食品用途を中心に引き合いが好調。外食産業ではコロナ禍における集客施策として、サラシア配合メニューを開発する動きも出ている。
コロナ禍で再注目「集客施策」でサラシア配合メニューも
新型コロナ感染症拡大による影響について、本紙ではサラシア原料サプライヤーを対象にアンケート調査を実施した。その結果、テレワーク浸透による運動不足を背景に「コロナ太り・自粛太りの対応策として注目度が高まった」「高まる健康志向で問い合わせが増えている」とする回答が目立った。
こうした需要の高まりは外食産業にも波及している。原料・OEM事業者からは「飲食店や居酒屋での採用が増加傾向にある」との声も。コロナ禍で来店客減少に歯止めがかからない厳しい状況の対応策として、各社では糖の吸収抑制効果が期待できる新メニューの開発で集客につなげる取り組みも始まった。食前茶としての「サラシア茶」や「ごはん・麺類」にサラシアを活用する機運が高まっている。
このほか、店頭での物販事業に乗り出す動きも。サラシア配合のサプリメントを来店客に販売する新規事業を手掛ける企業もみられはじめた。取材先からは「サラシアの訴求ポイント“糖の吸収抑制”は外食産業との相性が良い。相乗効果に期待したい」といった声もあがっている。
原産地・インドのロックダウンに伴う影響については、「6月頃から規制緩和が徐々に行われ、現在では従来通りの原料輸出に回復した」との回答も。「原産国のインドでは新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にあるため、現地との連絡を密にしながら今後の動向を注視していきたい」との声も聞かれた。
協会加盟社、59社に拡大「サラシアの啓蒙活動」に注力
原料の安定供給やマーケットの健全化を図るサラシア属植物普及協会では、機能性表示食品への届出支援を行っており、法人会員も増加傾向にある。協会発足時6社だった加盟企業は9月現在、59社に拡大している。
同協会では「例年開催するサラシアシンポジウムは新型コロナ感染症の影響を考慮して中止したが、今後はサラシアの啓蒙・普及活動をさらに進めていく」とする。「2020年1 月開催の健康博覧会2020(於:東京ビッグサイト)に出展、ブースでのPRのほかサラシアについて(仮題)をテーマに、城西大学薬学部の和田政裕教授によるセミナーも開催する」としている。
さらに、消費者向けの啓蒙活動にも注力していく方針で、「新しい書籍発行」のほか、「一般消費者へのアンケート調査」も企画中。サラシア市場のさらなる発展に向けての取り組みを強化している。
「お茶」「ゼリー飲料」「チョコ」等 機能性表示受理は54アイテムに
サラシア属植物は、インドやスリランカなど熱帯地域に自生するつる性の多年生木本で、世界で120種類以上が見つかっている。サラシア属植物の中でも日本国内で流通している代表的なものは、サラシアレティキュラータ(Salaciareticulata)、サラシアオブロンガ(Salaciaoblonga)、サラシアキネンシス(Salaciachinensis)がある。
インドやスリランカでは、伝承医学のアーユルベーダで肥満や糖尿病治療に使われるなど、古くからその機能性が知られている。日本国内では、サラシア属植物研究の第一人者である京都薬科大学名誉教授の吉川雅之氏による研究を皮切りに、1990年代後半以降、メーカーや学術機関が積極的に研究を進めてきた。
これまでの主な研究テーマは、「α-グルコシダーゼ活性阻害」、「抗肥満作用」、「肝機能改善」、「肝臓保護作用」、「中性脂肪上昇遅延作用」といった生活習慣病に関する論文が報告されている。サラシア由来サラシノールを機能性関与成分とした機能性表示食品は9月24日現在、54品目となった。年度別の受理数は、2015年(3品目)、2016年( 8 品目)、2017年( 7 品目)、2018年度( 9 品目)、2019年度(19品)、2020年9 月24日現在( 8 品目)に。
形状はサプリメンのほか、お茶やゼリー飲料、チョコ、茶漬け、牛丼など、一般食品に近い商品化が進んでいる。最近では複数の関与成分で届出受理するケースもみられ、「サラシノール」「GABA」や「DHA・EPA」、「γ-アミノ酪酸」、「エピガロカテキンガレード」「モノグルコシルルチン」を加えた製品開発も行われている。
こうしたなか、サプライヤーサイドでは機能性表示対応やサラシノール規格化、エビデンスデータなどで差別化を打ち出した提案を加速させている。
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