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シークヮーサー、排尿と認知機能でも 「機能性表示の可能性大」( 照屋 俊明 氏/琉球大学教育学部教授)

沖縄の特産品の1つで、認知度も高いシークヮーサー。近年、機能性研究が進み、排尿障害や、認知機能に対する効果などがヒト臨床試験で確認されている。琉球大学教育学部の照屋俊明教授にシークヮ―サーの魅力や健康機能、研究活動などについて話を聞いた。

―沖縄産シークヮーサーの特徴や魅力について

シークヮーサーは沖縄本島の北部地域で栽培されているミカン科の常緑低木です。みかんに含まれる有効成分としては、ビタミンCやβ-クリプトキサンチンが知られていますが、シークヮーサーにはフラボノイドの一種であるノビレチンやタンゲレチンが豊富に含まれています。

その量は温州ミカンの10倍以上含まれていることが報告されております。ノビレチンの研究は15年以上前から盛んに研究されており、これまでに肥満、糖尿病、花粉症、排尿障害、認知症などに効果があることが報告されています。

―シークヮーサーの機能性研究の進展について

ヒト臨床試験において排尿障害のある男女50人にノビレチンを6週間摂取してもらい、その効果をみたところ症状が改善したと答えた人が6割を占め、有効性が確認されました。さらに、これまで動物試験などで認知症にも有効であることが報告されていましたが、最近ヒト臨床試験でも認知機能を改善する効果が明らかになりました。

ノビレチンを摂取したグループは摂取していないグループに比べて、視覚や言語の記憶能力に改善が確認され、特に74歳以下の前期高齢者に効果があることが明らかになりました。

排尿改善に関しては、これまでに行ったヒト臨床試験の研究成果について、現在投稿中で年内に論文として掲載見通しです。この論文で機能性表示食品の届出が可能であると思います。認知機能改善に関しても、現在論文作成中であり、他の沖縄素材と併用した形で最終商品として届出は可能であると思います。

―シークヮーサーの利用拡大に向けた課題は何でしょうか

シークヮーサー産業における課題として真っ先に挙げられるのは後継者不足です。沖縄でも農業は、きつい、汚い、危険な仕事というイメージもあり、なかなか後継者が育ちません。

また収穫したシークヮーサーのほとんどは搾汁し、ジュースとして販売されますが、それだけではなかなか収益が上がらず、家族を養う覚悟をもってシークヮーサー農家になるという若者が少ないのが現状です。

この問題を解決するためには、地域と連携し付加価値の高いシークヮーサーの加工品を生産していく必要があるかと思います。

―今後の研究活動などについて

シークヮーサーでは、製造効率を高め、原料製造コストを削減して市場を拡大することに加えて、シークヮーサー種の活用のための基礎研究を行う計画があります。シークヮ―サー以外で注目している県産素材は、オオバギやギシギシなどです。

それぞれプレニルフラボノイドやネポジンなどの有効成分が含まれていることが明らかになっており、面白い研究成果が出ています。今後これらの県産素材を産業化に結び付けていきたいと考えています。

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