奈良県では、地場にゆかりの深い“漢方”を活かす『漢方メッカ推進プロジェクト』を推進。最重点作物である大和当帰の商品化や、県産キハダの有効性研究など新たな動きがある。県内で活躍する健食受託メーカーを見ると、新工場稼働や大和当帰配合ドリンクの開発、海外案件獲得といった動きがあり、コロナ禍においても善戦している。
地場産業“漢方”活かした「食」開発進む
『古事記』でヤマトタケルが“倭は国のまほろば-”と詠んだ奈良県は、自然と一体となった景観、文化、歴史を背景に、多くの人々の新たなものを生み出す、あるいは再起を促す聖なる自然環境が今日まで数多く受け継がれている。
中でも、身近な薬草や天然物を“くすり”として利用した歴史は古く、日本書紀に推古天皇が宇陀地方で薬猟(くすりがり)をされたという記述(611年)がある。その後、奈良時代の唐僧である鑑真の施薬が発祥といわれる配置薬となった。地場産業として薬の研究や教育が進み、寺院などで育成され、「大和売薬」として全国に普及した歴史がある。
こうした背景を、近年の高齢化や医療費削減に寄与する産業振興策とすべく、県では、平成24年12月より『漢方のメッカ推進プロジェクト』として推進。生産から販売までを一貫して漢方産業を育成すべく、部局横断体制で県内産業の活性化に力を入れている。漢方関連食品は約90品目(9 月末時点)にまで拡大している。
県の最重点作物 “大和当帰”商品化
中でも大和当帰に関しては、品質の良い薬用作物のブランド産地「大和物」を代表する作物として、栽培期間の短縮や、苗作りに必要な面積を減らす技術開発など、県を挙げた取り組みを進めている。
「大和当帰」総合情報サイトでは、“根は薬、葉は食す”をテーマに、生葉の薬膳料理や、乾燥葉の健康茶などさまざまな情報を発信。食用利用の可能な大和当帰葉には、ビタミンK・E・Cが豊富で、宇陀市産業企画課内「宇陀市薬草協議会」のみが原料供給の窓口となっている。
県の産業・観光・雇用振興部産業政策課では、来年1月開催の「健康博覧会2021」に出展予定。大和当帰配合ドリンクや健康茶、乾燥粉末などのほか、入浴剤、調味料といった漢方関連商品の販売促進を行うとともに、新たに県産キハダの未利用部分の有効性研究なども強化していく。
健食受託とともに医薬品の通販・海外輸出伸長
また、県内で活躍する健食・医薬品受託・OEMメーカーの中には、健康食品とともに、医薬品通販や海外輸出などの案件が伸長しているケースも。「特に医薬品通販が伸びており、海外輸出案件の相談も多い」「近年、輸出案件や機能性表示食品制度の相談とともに、通販会社からの第三類医薬品の要望などが増えている」といった声が聞かれた。
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