豊かな自然環境に恵まれた四国は、温州ミカン・スダチなどの柑橘類、オリーブ、ショウガ、海洋深層水、塩など天然資源の生産が活発な地域だ。近年は食品分野における6次産業化が進展し、産学官連携による機能性研究や新商品の開発が活発化。より付加価値の高い健康食品が数多く生み出されている。トクホや機能性表示食品制度を活用するメーカーも増加。2017年にスタートした四国独自の食品の安全性、機能性に関する民間認証制度(ヘルシー・フォー)は5社・7品が認証されている。四国の健康産業の動向と、地域経済の活性化を目指し、地場の素材を有効活用した製品開発を進める企業の取り組みを紹介する。
ヘルシー・フォー認証数5社7品に
太平洋と瀬戸内海に挟まれた四国は、豊かな自然環境の下、オリーブ、ミカン、スダチ、ショウガ、イワシなど農海産物の生産が盛んな地域だ。これら地場産品を活用した機能性食品の活用が進んでおり、トクホ、機能性表示食品などに挑戦するメーカーも多い。
2017年6月には四国健康支援食品普及促進協議会(STEP)が主体となり、全国初の広域民間認証制度「四国健康支援食品制度」がスタート。現在までに希少糖、イワシ由来バリルチロシン、LPS(リポポリサッカライド)、栗渋皮抽出物などを配合した認証品が5社・7品誕生している。
製品数はまだまだ少ないものの、認証取得までの時間的・価格的なコスト面、参入ハードルの低さを評価する声も徐々に増えており、STEP担当者は、「オリーブ葉や栗渋皮など未利用資源を活用する動きが見られる。中小企業からの相談が増え、次年度は新たに3品が追加される見込み」と話す。
同認証はトクホ・機能性表示食品と異なり、製品に具体的な効果・効能は表記できないが、「一般食品や生鮮食品は“なんとなく健康に良いイメージを伝える方が良い面もある」、「健食分野は未開拓だったがヘルシー・フォーを足掛かりに機能性表示の届出を目指したい」などの声も聞かれている。
産官学連携による機能性研究が進展
香川県は、オリーブ、希少糖、塩などの生産が盛んに行われている。県花・県木にも指定されるオリーブの生産量は年間500t以上。全国シェアの9割以上を占める。
オリーブオイル、塩漬け、化粧品のほか、オリーブ葉由来のポリフェノールに着目した健食原料の開発も進展している。
県による中小企業を支援する取り組みも活発化。かがわ産業支援財団が2018年から運営するファンドでは、県内メーカーの研究開発、販路開拓などを支援しており今年度は、LPS配合のバーム、食用花エディブルフラワーを用いた健康食品の開発など7 事業が融資を受けている。
また温州ミカン、レモンなど柑橘類の収穫量日本一を誇る愛媛県や、スダチの国内生産率98%を誇る徳島県では、県内メーカーと大学研究機関による研究が進展。ノビレチン、β-クリプトキサンチン、スダチチン、オーラプテンなど柑橘由来成分の機能性が明らかとなり、機能性表示食品の上市も進んでいる。
海洋深層水利用に追い風 飲食店、スパ・リゾート等で利用増
高知県は日本有数のショウガ、ナス、ニラの生産地だ。健食分野では冷え対策の定番素材ショウガ、黒酵母由来βグルカン、海洋深層水の主要サプライヤーが所在する。生鮮分野の機能性表示食品の開発も進展。高知県農業協同組合は9月、ナス由来アセチルコリンを関与成分とした「高知なす」が血圧低減分野で届出受理され、話題を集めた。
県南東部の室戸岬では海洋深層水の取水が盛んであり、深層水の豊富なミネラルを活かした塩、にがり、ミネラルウォーター等が生産されている。近年は産官学による共同研究が進展。2017年に高知県、高知大学、高知海洋深層水企業クラブ等が行った臨床研究では、室戸海洋深層水の摂取による腸内環境の改善、エクオールの産生促進作用が明らかとなった。
室戸市では深層水を利用した産業振興を進めており、昨年9月に「室戸海洋深層水使用」と商品・サービスに表示、告知する手続きを簡素化した。
これにより化粧品、健康食品、製菓に加えて、飲食店やスパ・リゾート施設での深層水の利用が急増。星野リゾートやウトコオーベルジュ&スパ等で、室戸海洋深層水を使ったトリートメント、入浴サービスが提供されている。
またナチュラルローソン、コミベーカリーなどコンビニや製パンメーカーでも新商品が上市され、今年9月時点で、室戸海洋深層水の関連商品の取り扱いは県内外110社を超えた。
定期購読のお申し込みはこちらから(当サイトからの紙面PDFの閲覧も可能になりました!)
■「受託製造企業ガイドブック2017年版」 好評販売中■
2012年版を全面改定し、「機能性表示食品への対応」を追加。各社の概要、特色、業況、連絡先がこの一冊に。健康食品・化粧品の製造、各種試験・分析依頼、原料調達などに、ぜひ本書をご活用ください。⇒詳しくはこちら!