機能性表示食品が3,000品を突破した。事業者数は約820で、1991年にスタートした特定保健用食品の151社・1,075品と比べると、制度の活用が急ピッチで進んでいることがわかる。3,000品到達を機に、今一度制度の立ち位置を考えてみたい。
2013年6月に健康食品の機能性表示解禁を宣言した安倍前首相はそのスピーチの中で、特保取得にはコストも時間もかかり、中小企業・小規模企業にはチャンスが事実上閉ざされていることに触れた。その点で言えば、機能性表示食品は中小企業の利用も多く、うまく機能しているといえるだろう。
地方自治体による支援も活発に行われている。今年度は、大学との産学連携で受理に至ったものや、韓国政府と関係機関で4月に発足した機能性食品輸出支援グループに基づく届け出もある。規制改革に基づく産業振興は着々と実を結びつつある。
本稿の冒頭でもそうだが、機能性表示食品と特保はよく比較される。特保と機能性表示食品の制度上の違いは、特保は国の審査に基づくもの、機能性表示食品は事業者責任に基づく届出制と説明できる。
しかし、制度設計時に示された方針として忘れないでおきたいのが、当時の消費者庁川口次長が2014年12月の消費者委員会本会議で行った説明である。機能性表示食品の機能表示は、「原材料、原産地などと並び食品の特性を示すもの」であり、特保の保健の用途表示とは異なるとの説明だった。
企業責任に基づく商品の“特性”の表示。こうした表示は世間で幅広く行われているものである。機能性表示食品ではもちろんそのためのガイドラインも示されている。事後チェックの仕組みも働いている。表示の性質の違いは、改めて認識しておきたい。
医薬品との違いを考えるならば、「疾病に罹患していない方を対象にした食品」ということに尽きる。この点、機能性表示食品と医薬品の違いは明白で
ある。先の免疫表示にしても、もちろん、健康な人をターゲットとしている。
個人的な話で恐縮だが、締め切りが迫り慌てふためいているときや、何かの発表の前などに、リラックス系の機能性表示食品を利用している。当方に
はあっているようで、気が付いたら落ち着いているというのがいい。快眠系もそうだが、あまり医薬品には頼りたくない分野は、機能性表示食品が活躍できるカテゴリーである。
制度はまだ改善の余地はあるだろう。3,000品を超えてさらなる上積みも想定される中、届出データベースを改善してほしいとの声をよく聞く。消費者庁
ではデータベースの更改を行う予定とのことだが、より使いやすいものとなることを期待している。
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