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新しい生活様式に「抗糖化」の追加を(抗糖化特集インタビュー)

AGEs 測定法の研究や、糖化ストレスの抑制対策、抗糖化素材の探索に至るまで、幅広い視点から糖化ストレス研究を行う同志社大学教授の八木雅之氏。糖化ストレスに関する研究のみならず、抗糖化に関する普及啓発活動も精力的に行う同氏に、糖化ストレスについて現況を話してもらった。

日本国内で糖化に着目した化粧品や食品が登場してから11年が経った。当初、殆ど知られていなかった体の糖化対策(抗糖化)は、今や老化対策の必須項目になった。

これまで抗糖化素材や製品には、爆発的なブームがなかった。

しかし、健康情報に関するテレビ番組や情報誌と共に、ブログ、SNSなどで糖化の影響や抗糖化の重要性が正しく伝えられ続けたことで、糖化の認知拡大とともに抗糖化製品数は右肩上がりに増加してきた。

抗糖化は産・学・マスコミなどが一体となって育て、花を咲かせた機能性と言える。

体の糖化はタンパクとグルコース(血糖)が結合し、糖化最終生成物(AGEs)の生成と蓄積に至る現象である。AGEsはアルコールや脂質の代謝物であるアルデヒドからも生成する。

また、揚げ物などの高温調理された食品を大量摂取した時には、食品中AGEsの一部が体内に取り込まれる可能性がある。

さらに睡眠不足はAGEsの蓄積を増加させる。このため体の糖化は「糖化ストレス」と呼ばれる。

近年、糖化ストレスに起因する皮膚、見た目、骨質、毛髪の老化は注目度が高い。皮膚AGEsの蓄積は肌のキメを乱し、黄ぐすみ、弾力低下の要因となる。骨コラーゲン中のAGEs生成は骨質を低下させ、骨折リスクを増大させる。毛髪中のAGEs生成は髪質の変化に関与している可能性がある。

抗糖化には食後高血糖の抑制、AGEsの生成抑制、AGEsの分解排泄などがある。食後高血糖の抑制には野菜のみならず、プレーンヨーグルト、食酢、レモン果汁などの食前摂取の有用性が検証されている。

AGEs生成抑制作用は野菜、ハーブ以外に、さまざまなフルーツにも存在する。フルーツはビタミン、ミネラル、食物繊維補給の観点からも1日200g程度の摂取が推奨されている。

AGEsの分解排泄作用はハーブ類に可能性が示されている。食品由来のAGEsは野菜などに含まれる不溶性食物繊維に吸着する可能性がある。

2020年は新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により「巣ごもり生活」が余儀なくされた。このため多くの人は通勤・通学頻度の減少、スポーツジムやフィットネスでの3密防止を目的とした利用者数制限により運動不足になっている。

食生活は外食や宴会の自粛により、ファストフードの内食や家飲みが増加した。2020年5月の家計調査では麺類、肉、卵、酒類の支出が増えたことが報告されている。また経済やウイルス感染に対する不安から睡眠環境が悪化したとの調査結果もある。

これらは全て、糖化ストレスを増大させる要因である。感染症予防には「新しい生活様式」の実践が推奨されている。これは行動変容が中心である。

新しい生活様式では食事、運動、睡眠環境などの改善が難しい。世界中が切望しているコロナ禍の沈静化が、巣ごもり生活後の「玉手箱開封」とならないようにするため、私は新しい生活様式の中に抗糖化の追加を推奨する。

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