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食品開発展から見えたもの(連載/オピニオン)

「食品開発展」の記念セミナーを聴講して、講演終了後の拍手を感慨深く聞いた。

コロナ後、セミナーはほとんどがオンラインになり、なかなか拍手の機会がない。終了後、講師との名刺交換が行われているのを見て、従来はこれが普通だったのだと思い出す。

展示会場でもあちこちで、適度な距離を保ちつつ、直接の商談が行われていた。

人と人のコミュニケーションでは、言語以外に、表情や身振りなどによる「ノンバーバルコミュニケーション」も重要とされる。

商談の場において、声のトーンや口角などで相手の反応はある程度察することができる。

3人以上のオンライン会合で、映像非表示の人がいて反応がわからず、不安になったという経験をした方は結構多いのではないか。

国土交通省が10月に発表したコロナによる行動・意識変化を調べた結果によると、今後、インターネットによる商品購入の実施意向は高かったが、オンライン飲み会などコミュニケーション系の実施意向は低かった。

オンライン会議については、「今後行いたい、続けたいと思う」割合は30%。そう思わない割合は43%でこれを上回っている。

コロナ後、多くの人が、在宅で十分な業務があることを知った。テレワークの導入に関する各種の調査がそれを裏付けている。

オンラインは便利なものであり、状況に応じて積極的に導入すべきである。だがそれだけでは不十分なケースもある。

依然として「オンラインでは新規商談がやりづらい」との声はよく聞く。もともとコロナ前でもオンライン対応は可能だったのに今ほど導入が進まなかったのは、多くの人が直接商談を望んでいたからだろう。

海外もそうだが、リアル展示会は効率がいい。1日に10社も20社も訪問し、直接感触を得ることができる。

リアル展示会を主軸に、必要に応じてオンラインでフォローする。それが新しい展示会の姿になるかもしれない。展示会終了後、そんなことを思った。

ブースを回りながら、各社に来年の戦略を聞いてみた。新表示へのチャレンジ、新素材の拡販――ビジネスを前進させるための力強いコメントが聞かれた。

その一方で、「来年も変わらずこれまで行ってきた事業を進めていく」「今やっていることの継続」という声も多かったのが印象的だった。

コロナ禍で世界経済は揺さぶられ、健食業界でいえば消失したインバウンドへの対応など、変化が必要な部分があるのは確かだが、「継続は力なり」は、アフターコロナでもウィズコロナでも通じる真理であろう。

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