本紙編集部は、健康食品の受託加工・製造企業184社(有効回答88社)を対象とした調査を実施。2020年売上高の増減率は、38%が前年を上回った一方、前年調査の21%から2倍以上の44%が前年割れになった。新型コロナウイルスの影響で、取引先の販売チャネルによって受注量の差が激しく売上高の増減に影響した。一方、コロナ禍で、消費者の購入手段やニーズに変化がみられる中、いち早く対応し、既存客の受注増や、新規顧客獲得につながった事業者も。今年後半から海外輸出も回復傾向にあり、インバウンド向け受注が当面見込めない状況で、海外に活路を見出す動きも目立つ。Withコロナを前提に製造現場では、独自にマニュアルを作成するなど、ウイルス対策を一層強化している。来年の人気予想素材では、「乳酸菌」がダントツのトップ。2位には新素材「NMN」がランクインした。
コロナ禍ニーズをいち早く対応 下期経営状況、3割が「良かった」
アンケートでは企業の売上高や増減率、経営状況、市場の景況感、設備投資の現状、人気受注素材、輸出製品のOEMやインバウンドの状況、機能性表示食品制度への対応状況、新型コロナウイルスに影響、今後の見通しなどについて聞いた。
調査対象の企業の売上高は10億円未満が50.0%、10億円から50億円未満26.3%、50~100億円未満が13.8 %、100億円以上10.0%だった。売上高の増減は38%が前年を上回ったが、前年調査から27ポイントと大きく減少。一桁の伸びを示した企業は24%で前年調査の半数以下だった。
売上高が下回った企業も44%で2倍以上に増加。新型コロナウイルスの影響が反映された結果となった。
今年下期の経営状況に関する質問では、新型コロナウイルスの収束が見えない中、「どちらともいえない」が最も多く48%。「悪かった」は、11ポイント増え20%だった。「非常に良かった」「良かった」は前年調査から3ポイント減の32%だった。
「良かった」企業からは「国内市場(国内EC)が増えたため、売り上げを維持できた」「WEB販売のOEM製品製造が増えた」など通販向け案件が比較的好調だった回答が目立った。また、免疫サポート、巣ごもり太り対策など、コロナ禍における新たなニーズをキャッチし、商品開発・企画をいち早く具現化、業績を伸ばした事業者も。
また、インバウンド需要がなくなった一方、6割が「輸出を行っている」と回答。「海外向け案件の復調の気配が出てきている」「中国、韓国、台湾、ベトナムなど、海外向けが伸びた」「中国向け越境ECは好調だった」など、海外に積極的に展開する動きもみられる。
来年見通しは6割強が「不透明」 各工場、ウイルス対策を徹底強化
来年上期の見通しでは、「非常に良くなる」「良くなる」は30%で前年調査から14ポイント減少。「どちらともいえない」は19ポイントを増え65%に。多くの企業が新型コロナウイルスの収束がみえず、先行きが不透明な点を理由に挙げている。
一方で製造現場では、緊急事態宣言以降、ウイルス対策を一層強化している。マスク着用、手洗い、アルコール除菌、換気、検温はもちろんのこと、時差出勤、マイカー通勤の推奨、工場間移動の制限や履歴管理、食堂座席のパーテンション設置や利用の人数制限、社内会議のオンライン化、工場見学を禁止して動画で対応など、様々なウイルス対策を実施している。感染者が出た場合の対応策をまとめたマニュアルを作成するなどの回答もあった。
「乳酸菌」人気続く、注目株は「NMN」
機能性表示、受理数増加で評価高まる人気受注素材のトップは「乳酸菌」。2位の「コラーゲン」「NMN」と11票の差をつけてダントツの1位に。来年上期の人気受注素材でも1位を獲得しており、圧倒的な力をみせつけた。
機能性表示食品も「歩行機能の向上」「紫外線刺激から肌を保護」など新たなヘルスクレームが登場。11月には「免疫機能」を表示した商品の販売も始まっており、来年も大きな注目を集めそうだ。
2位の「NMN」は、“若返りビタミン”とも呼ばれ、注目度が上昇。「食品開発展2020」でも複数社がNMNを出品し、来場者の関心を集めていた。またコロナ禍を反映し…
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