特集

PG、核酸、海洋性プラセンタ…サケ由来素材、2ケタ増と好調(特集/サケ由来機能性素材)

古くから日本人の食卓を彩ってきたサケ。食用の身肉・卵はもちろん、頭から鼻軟骨、中骨、脂肪、白子に至るまで栄養素が豊富に含まれており、健康食品・化粧品でも広く活用されている。サケ由来機能性素材市場を牽引する海洋性プラセンタは美容サプリ・コスメとして国内外で利用が進み、主要サプライヤーからは原料供給量が前年比倍増との声も。プロテオグリカン(PG)も美容やロコモ分野で台頭。肌や関節の機能性表示食品は39品を数え、原料供給量も前年比105~110%と好調で、コスメも合わせた市場規模は450億円に達する。新たな素材ではサケ腸管由来の乳酸菌も登場。打錠型サプリや加工食品等に採用が進む。ほかにもⅡ型コラーゲン、DHA・EPAなどサケ由来素材の機能性表示食品の届出が増加するなど、サケ由来素材の存在感は高まっている。

捨てる部位のない魚、腸管由来の乳酸菌も登場

サケは「捨てる部位のない魚」と呼ばれ、身にはアスタキサンチン、ビタミンD、皮にはⅠ型コラーゲン、鼻軟骨にはプロテオグリカン(PG)、コンドロイチン、Ⅱ型コラーゲン、白子(精巣)には核酸、プロタミン、卵巣膜にはプラセンタ様物質(海洋性プラセンタ)、卵・脂肪にはDHA・EPAが豊富に含まれている(左下図)。

各部位の有効成分を規格化した機能性素材も数多く見られ、健食、化粧品用途で年々、利用が広がっている。最近では、サケの品種、漁獲時期、性別など様々な条件下でのエビデンスの掘り下げを進めるサプライヤーも登場。より踏み込んだ機能性研究が進められている。

さらに新たな素材としてサケ腸管から分離した乳酸菌を培養し、加熱処理した粉末原料も登場。抗肥満、抗炎症、免疫賦活などの有効性が確認され、サプリや加工食品に利用が広がっている。

海洋性プラセンタ、PGが市場を牽引

2019年の国内サケ漁獲量は、約4.5万t(前年比25%減)と減少が続いており、一般食としてのサケは年々値上がりしている。健食・化粧品用途に用いられるサケ原料は、鼻軟骨や白子、皮など多くが食品でない部位を由来とし、漁獲減の影響はそれほど見られないが、一部のサプライヤーからは原料のタイト化を懸念する声も。アラスカやノルウェーのサケやマスの利用を検討する動きも見受けられる。

サケ由来機能性素材市場を牽引するのは卵巣膜由来の海洋性プラセンタと鼻軟骨由来のPG。海洋性プラセンタは保湿、疲労感軽減、妊活、更年期症状の緩和など様々なエビデンスが蓄積されており、ブタ・ウマ胎盤由来プラセンタの代替品として市場に定着。国内外で美容サプリへの利用が広がっている。

またサスティナブル性が推奨されているコスメ業界では、動物由来原料を使用しないブランドも多く、海洋性プラセンタが利用されるケースも多い。

中国に展開する日本の大手ブランドで採用されたことが影響し、海外で高い知名度を獲得しており、特に東南アジア系のネットワーク企業で利用が急増している。原料サプライヤーからは、「前年から供給量が倍増した」「メイドインジャパンのイメージの良さがセレブ層に好評」との声も聞かれる。

サケ骨軟骨に含まれるPGは、タンパク質と糖鎖が結合した分子の総称。体内では軟骨や皮膚に存在し、コラーゲンやヒアルロン酸の働き、軟骨の復元を促すことで抗シワ、肌保湿、抗ロコモなどの作用が期待できる。

主要サプライヤーへの聞き取りでは、原料供給量は前年比105~110%で推移。サプリ・コスメ製品共に順調に供給量が伸びており、『ロコモプロ』(ダイドードリンコ)などヒット商品も登場。本紙調査によるPGの市場規模は、約450億円と推計される

サケ軟骨由来PGを関与成分とする機能性表示食品は39品(12月9日時点)。骨・関節サポート系が9割以上を占めている。巣ごもり高齢者の運動不足に伴うロコモ人口の急増が懸念されるなかアテニア、えがお、アストリム等が新商品を投入。また今年6月、「肌弾力の維持」というヘルスクレームが登場し、美容・抗ロコモの両面で利用の拡大が期待されている。

核酸、機能性表示を目指す動きも

核酸(DNA)は、植物種子、魚類の白子、動物の精巣に含まれるが、特にサケ白子に多い。また核酸のほか塩基性タンパク質(プロタミン)、ポリアミン等も含まれており、これらを規格化した原料が健食・化粧品向けに利用されている。

独自の酵素処理法で身体への吸収効率を高めた原料もあり、「悪玉コレステロールの酸化抑制作用」に関する新たな特許の取得も進んでいる。

核酸サプリの主な販売チャネルはMLM市場。業界3位のフォーデイズは『ナチュラルDNAコラーゲン』をはじめとする核酸ドリンクを展開。2020年の売上高は、261億円(前年比93.7%)と一昨年の行政処分以降、2年続けての減少となった。

一方で、核酸サプリで売上が伸長しているネットワーク関連企業も。疲労回復や持久力向上を目的にニュートリション分野で利用されるケースもあり、原料流通量は昨年と同程度、微減と推測される。

定期購読のお申し込みはこちらから(当サイトからの紙面PDFの閲覧も可能です!)

■「受託製造企業ガイドブック2017年版」 好評販売中■

受託製造企業ガイドブック2017健康産業新聞a
2012年版を全面改定し、「機能性表示食品への対応」を追加。各社の概要、特色、業況、連絡先がこの一冊に。健康食品・化粧品の製造、各種試験・分析依頼、原料調達などに、ぜひ本書をご活用ください。⇒詳しくはこちら!

行政・業界ニュース

企業ニュース

特集

PAGE TOP