4日配信の健康産業速報では、総務省の家計調査で健康サービス品の購入額が5月は1,234円と、前年同月比で35%の伸びを見せたことが紹介されている。実は受託製造の調査でも、通販の調査でも、改善しているという結果が相次いでいるが一方で経営不振から素材メーカーや販売メーカーに吸収されるなどの動きも後を絶たないわけで、調査結果には慎重にならざるを得ない。それでも、数字が改善されるとなると、これは底打ちなのかといわざるを得ない。
そもそも、健康食品や医療品は景気後退の時期に伸びる習性があった。歴史的には極めて相関性が高いと。村上陽一郎氏は日経新聞のコラムで「今の健康・安全ブームは・・・不幸な状態、あるいは死への恐れであって・・」と心理的要素が強いと見ている。健康政策のないに等しいわが国では、ガンによる死亡は増え続け、「寝たきりや認知症は世界一」という状況の下で、自分の健康は自分で守らなくてはという思いが広がっているのではないか。
健康日本21もメタボ健診も予防領域の取り組みが不十分で、関係者もフラストレーションを起こしている。「円」「日本国債」と共にわが国の健康政策にも国民は「NO」を突きつけているのではないか。薬事法の改正など法整備が必要ではあるが、マーケットは既に健康食品の大きな可能性を確認しながら成長軌道に入ってきたようである。