中国地方は、本州の西部に位置し5つの県が所在する地域だ。その中心には、中国山脈が横断しており、山脈を境に日本海側(山陰)と瀬戸内海側(山陽)に分かれ、収穫される農作物や魚介類は全く異なる。それぞれの豊富な地域資源を活用し、機能性原料として6次産業化を進める動きが活発だ。各県の大学機関では、健康食品メーカーと連携した機能性研究が積極的に進められている。乳酸菌や植物発酵エキス等の人気素材から、カニ殻など未利用資源を活用したグルコサミンやキチンナノファイバーまで、幅広い分野の研究が行われている。これらの素材は、全国各地の健食・化粧品メーカーに幅広く利用されている。
山陽・山陰 各県で6次産業化が加速
中国地方は、岡山、広島、山口、鳥取、島根の5 つの県が所在する地域ブロックだ。
関西や四国、九州地方への交通の便が良いことから、古くは大宰府と大和朝廷のつなぎ役として、大陸文化や政治経済の回廊となっていた。
中国地方の中心には、広大な中国山脈が横断している。
瀬戸内海側の山陽地方では、海産物の生産を軸に繁栄した商業都市が多く、現在も岡山、倉敷、広島など中国地域の主要都市が所在している。
一方で、日本海側の山陰地方は、北陸地方と並ぶ日本有数の豪雪地帯であり、海産物や砂丘農業が盛んな地域だ。
近年は、山陰・山陽ともに豊かな地域資源を活かした6 次産業化が進展。
健食分野では、植物発酵エキス、グルコサミン、キチン・キトサン、カツオエラスチン、ヒシエキス、フコイダン、エゴマ、大麦若葉、桑葉、カキ肉エキス――などが製造されている。
また各県の大学機関では、地元の健食メーカーと共同で機能性素材の開発を進める動きが加速。乳酸菌やタデアイ、酵素など様々な素材を活用したサプリメントの製品化が進んでいる。
“晴れの国”の発酵食品に期待
平均日照時間が長く、「晴れの国」と呼ばれる岡山県は、野菜やフルーツの栽培が盛んだ。
白桃やピオーネ、マスカットなどは特に有名で、大粒で栄養価の高い最高級品として全国のフルーツ市場でも人気が高い。
岡山県のフルーツ出荷数は、東北地方や北海道などと並び全国でもトップクラスだ。
こうした旬のフルーツや野菜を活用して、『吉備酵素』(機能性食品開発研究所)や『OM-X』(バイオバンク)など、植物発酵エキスを製造する原料サプライヤーも多い。
また今年1月、岡山大学が和菓子メーカーの吉兆庵と連携協定を締結した。同大は、健康と発酵をキーワードに、地域農作物を活用した健康食品の開発を進めていく方針だ。
瀬戸内海に面した広島県は…
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