本紙が今回、食酢メーカーや黒酢サプリメントの主要サプライヤー、販売メーカー約50社に取材およびアンケート調査を行った結果、2020年度の健康酢市場では、ビネガードリンクの売れ行きが依然として前年比2ケタ増と好調をキープした。機能性表示食品にも70品目以上が受理され、内臓脂肪の減少や血圧低下、疲労回復などをパッケージに表示した製品群は、新型コロナ禍での国民の健康志向の高まり、テレワークの増加や巣ごもりが少なからず追い風となった。さらに韓国製の果実発酵酢は、20~30代女性の美容飲料としての地位を確保、ビネガードリンク市場の起爆剤となっている。一方、黒酢エキス末や黒酢もろみ末を用いたサプリメントの売れ行きも前年比横ばいで推移、健康酢市場はここ数年、躍進が続いている。
「鹿児島の壺作り黒酢」、堅調な動き
健康食品業界で言う「健康酢」の代表格は、希釈して飲用する黒酢や果実酢などのビネガードリンク(酢飲)と、黒酢エキス末や黒酢もろみ末をハード・ソフトカプセルに詰めたサプリメントタイプの主に2種類。
なかでも代表格の黒酢は、「健康に良い」ことが広く一般にも認知されており、安定した市場を築いている。黒酢の機能性については、これまで疲労回復、高血糖・高脂肪抑制、抗アレルギー、血圧降下、血清コレステロール低下、免疫賦活や抗腫瘍、さらには認知症予防――など様々な効果が、動物やヒト臨床試験で確認されている。
また、黒酢に含まれる「D-アミノ酸」の美容効果も報告されており、近年は健康分野のみならず、美容・美肌分野でも注目を集めている。
現在市場に流通する黒酢には、大きく2つの流れがあり、鹿児島県霧島市福山町界隈で、坂元醸造や重久盛一酢醸造場(まるしげ)、福山酢醸造(ヤマシゲ)などが、江戸時代後期より壺を使用した伝統製法で製造している「鹿児島の壺造り黒酢」と、Mizkanやタマノイ酢、マルカン酢など大手・有力メーカーによる大量生産品がある。
前者は「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(地理的表示法)に基づき、2015年に地理的表示保護制度(GI)の登録も受けている。生産量は少ないものの、高付加価値製品として人気が高い。
「鹿児島の壺造り黒酢」の2020年度状況は、各社への取材で概ね前年比横ばいと、堅調に推移していることが分かった。トップメーカーの坂元醸造では「新型コロナ禍で営業活動が思うようにできない中で、前年と同等の売上高を確保できた点では十分健闘した」とコメント。
黒酢サプリメントは横ばいを堅持
2020年度の黒酢サプリメントの市場は、本紙の取材およびアンケート調査で、前年比横ばいで推移していることが分かった。
黒酢サプリメントの原料は、前述の「鹿児島の壺造り黒酢」の原液を濃縮してSDやFDで粉末にした「黒酢エキス末」と、黒酢の製造過程で壺の底に沈殿するもろみを乾燥粉末にした「黒酢もろみ末」が主流。主なサプライヤーは…
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