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健康食品製造の一大集積地、コロナ禍で国内外から需要高まる(特集/静岡県)

2019 年12 月に中国武漢で検出された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により2020 年は世界的に経済が悪化した。そのなかにあってヘルスケア領域への関心は一層高まり、関連産業は善戦している。国内健康食品市場も同様で、健康食品のOEM メーカーが数多く立ち並ぶ静岡では、各社売上は堅調に推移している。特に海外からの引き合いによる輸出製品の製造が好調で、今後もこの傾向は強まるとみられる。また、静岡県は農水産物が豊かな特長を活かした産学官連携による新規食品開発も盛んで、「フードサイエンスプロジェクト」や「AOI プロジェクト」、市場と生産を結びつける「ふじのくにマーケティング戦略2021」など、積極的な施策が進められている。

11年連続、健康食品出荷全国トップ 海外輸出製品も増加

経済産業省発表の最新の経済工業統計調査によると、平成30年における全国の栄養補助食品(錠剤、カプセル等の形状が対象)の出荷額は3,187億3,200万円(前年比103%)で、そのうち静岡県の出荷額は663億5,900万円となり、11年連続で全国トップ。

健康食品製造を支える屋台骨として君臨している。前年対比104%と右肩上がりで拡大している。全国出荷額に対する静岡県の出荷額が占める割合は約20%とダントツの記録だ。

ただ昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大によるインバウンドマーケットの消失、店販流通での売上減少など、健康食品業界も経済損失は避けられなかった。特に製造を担う健康食品OEMメーカー各社では、こうした製品の製造が減少し、売上ダメージも少なくなかったという。

一方で、コロナ禍で成長を続けているのが通信販売チャネル。外出自粛や感染リスクの観点から、通信販売の利用率は高まり、2019年対比で5.9%の増加率をみせるなど好調だ。「インバウンドで売上が凹んだ分、通販の伸びが売上をカバーした」とし、コロナ禍にあっても堅調な売上をみせている。

特に、ビタミン類や乳酸菌、プロポリスなど免疫賦活商品へのニーズが強まるなど、OEMメーカーの生産稼働率は高い。

また最近の傾向として、海外への輸出製品の製造案件が増加しているのも特長の一つ。健康食品メーカーによる越境ECを利用した中国マーケットの参入が年々拡大しており、輸出制限地区外となる静岡では製造依頼が増加している。

ベトナムやマレーシア、インドネシアなど東南アジアへの輸出も好調だ。国内市場がやや停滞気味にあるなか、海外案件は今後も拡大していくとみられる。

製造面では工場でのクラスター発生を防ぐべく、各社感染防止策を講じ、日々製造に励んでいることがわかった。商談や製造立ち合いなどは、ビデオ通話に切り換えて対応しており、工場エリアの通信環境を整備した企業も。「製造現場は通常立ち入ることができないが、遠隔でのビデオ通話に切り替えたことで、従来よりも細かくチェックできるメリットもある」と話す。

テクノロジーのさらなる活用により、ニューノーマル時代ならではの製造業の在り方が示されそうだ。

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