国内外でSDGsの気運が高まりを見せる。欧米では大手と中小企業を結ぶサプライチェーンが形成され、食材の未利用部位を有効活用したアップサイクル食品が普及。世界全体のSDGsへの投資額は、約23兆円に達するという。日本でもSDGsに取り組む企業が増加。コロナ禍で一般認知度も飛躍的に上昇している。未利用資源から有効成分をピックアップして、「すべての人に健康」を実現できる健康食品への期待が高まっている。
ESG 投資が加速、日本にも普及
SDGsは、2015年9 月の国連サミットで採択されたもので、経済・社会・環境など人類の共通課題を解決し、持続可能な社会を形成することを目的とする。「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「つくる責任つかう責任」など17のゴールが示され、食品ロス、雇用、男女平等、環境維持、教育など169のターゲットが設定されている。
欧米では、SDGs達成を目的として、大手と中小企業を結ぶサプライチェーンが形成されている。スウェーデン、デンマーク、ドイツ、フランス等では、8割以上の企業がSDGsに取り組んでおり、500人以上の従業員を抱える事業者には、SDGsに関する報告書の提出が義務化されている。
米国では、19年に食材の未利用部位の有効活用を目指すアップサイクル食品協会が設立。サスティナブル性を重視して、商品を購入する消費者も多く、食品の安全性・品質基準、エシカル、オーガニック・非遺伝子組み換え、エコ・サステナブル、ヴィーガン・ベジタリアンなど認証ラベルの利用も活発だ。
一方で、SDGsの達成には、数百兆円規模の膨大な資金を要する。そこで、資金調達手段として現在、注目されているのがESG投資だ。ESGとは、SDGsを達成するためのプロセスのことで、各企業の個々の取組みを指す。
欧米の大手投資ファンドではESGが企業への投資基準になっており、ESG投資額は約23兆円と試算される。これは世界全体の投資額の約26%に当たり、日本の投資ファンドにも同様の動きが見られる。
内閣府「中小企業の生存戦略」でSDGs 対応を指摘
こうした中、日本企業もESGを重視する姿勢が目立つ。
ボランティア色が強かったCSRと比べて、直接的に株価に直結するESGを重視する経営者は少なくない。今春には、大手広告代理店の介入もあり、テレビや新聞で盛んに、SDGs関連の情報が発信され、一般消費者の認知も飛躍的に高まった。
電通が今年1月に10~70代の1,400人を対象とした調査では、SDGsの認知率は54.2%となり、前年調査からほぼ倍増した。コロナ禍によってSDGsへの関心が高まった人は32.4%。認知率が最も高いのは男女とも10代で、7 割を超えた。
行政でもSDGsを重視する動きがみられる。経産省は4月26日、産学官による初の「化粧品産業ビジョン」を発表。これは、短期および中長期を視野に入れた将来像を示したもので、「SDGsへの積極的な貢献」が盛り込まれた。
同省は、企業や商品選択においてSDGsに対する取り組みやギルトフリーが「より重視される」と分析。「製造から使用・廃棄までライフサイクルの各段階において、気候変動やゴミ問題等への具体的な対応」を急務と位置付けた。
また内閣府の「中小企業白書2021」では、事業環境の変化として、SDGsを取り上げている。環境省の活用ガイドを例に、SDGsへの取り組みは企業イメージの向上だけでなく、中小企業にとって「生存戦略になる」と指摘。今後、SDGs対応が、ビジネスにおける取引条件になる可能性もあるとしている。
アップサイクル食品、評価高まる
健康食品素材の多くは、もともと未利用資源を活用しているものが多く…
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