SDGs(持続可能な開発目標)への対応が健食業界でも求められ始めた。本紙が全国の受託製造企業に実施した定期調査では、「すでに取り組んでいる」「検討はしている」を合わせると6割を超え、関心の高さが示された。背景には、SDGsに対する消費者認知度の高まりがある。民間調査によると、SDGsの認知度は5割を超え、コロナ禍でその関心がさらに高まっているとの調査報告も。具体的な取り組みでは、化粧品業界に比べ遅れているが、SDGsと健食は親和性が高く、品質や健康機能に加えて、その取り組みがブランド育成に欠かせないピースになりそうだ。
SDGsは、2015年の国連サミットで加盟国の全会一致で採択されたもの。「すべての人に健康と福祉を」「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」など、2030年までに持続可能な発展を目指して設定した17個の目標からなる。
各産業界では、自社のビジネスの延長線上で社会課題の解決ができるSDGsの取り組みを重視。国内企業によるESG債(環境・社会・ガバナンス)の発行も増えている。
TVや新聞、ECサイトなどを通じてSDGsが取り上げられる機会が増え、消費者認知度も急速に高まっている。
楽天インサイトが昨年12月に、全国20~60代の男女1,000人を対象に実施した「SDGsに関する調査」では、その認知度は50.7%だった。認知した時期を聞くと、「半年以内」(22.9%)、「1年以内」(27.8%)を合わせると半数を超えた。
電通が今年1月に全国10~70代の男女1,400人を対象に行った調査でもSDGsの認知度は54.2%で、昨年調(29.1%)の倍近く上昇。コロナ禍で関心が高まった人は32.4%だった。
こうした中、健康食品業界でもSDGsの達成に向けた取り組みが始まっている。本紙が全国の受託製造企業に実施した定期調査では、「すでに取り組みをしている」との回答は昨年調査から11ポイント増え25%だった。
「検討はしている」も同17ポイント増の40%に。取組内容、検討内容をみると、原料や包装・容器材料の見直し、工場の温室効果ガス排出削減などが挙げられ、「廃棄物、規格外品の積極的な活用」「フェアトレード原料の積極採用」「バイオマス原料を使ったボトルへの切り替え」「売上の一部を原料開発国へ寄付」「開発プロジェクトチーム結成」――などの回答がみられた。
本紙では全国の化粧品受託企業にもSDGsに関する取り組みについて聞いており、「すでに取り組みをしている」は39.0%で健食企業より14ポイント多かった。
化粧品業界では資生堂、コーセーなど大手メーカー各社がESGを意識した事業経営を行い、SDGsの達成に向けた中長期プランを策定している。ある健食受託企業の担当者は…
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