CBDは麻科植物に含まれる成分で、睡眠質の改善、緊張感の緩和、抗炎症作用などに効果があるという。近年は、欧米を中心に急速な市場拡大が見られ、ゴールドラッシュならぬグリーンラッシュと呼ばれており、日本でもCBDを配合した健食や化粧品が徐々に増え始めている。一方で、麻にはTHCと呼ばれる規制成分が含まれる。日本では、CBD製品を輸入する際にTHCを除去した証明が求められる。また現行法では、花穂や葉から抽出したCBDは違法だが、厚労省は今年5月、部位規制の改正を示唆。法律が整備されることで、日本でのグリーンラッシュの到来に期待が高まっている。
■THCは多くの国で規制
CBDは、麻科の植物に含まれるフィトケミカルの1 種。近年、健康食品や化粧品、医薬品などに利用が広がっている。
麻には、CBDのほかTHC、CBN、CBGなど数百種類のフィトケミカルが含まれている。これらは、カンナビノイドと呼ばれ、花穂や葉に多く、茎、根、種子にも微量に含まれている。
複数のカンナビノイドを同時に摂取すると、より効果が高まると言われている(アントラージュ効果)。THCは多幸感や陶酔感などの精神作用を生み出すため日本を含め多くの国で規制されている。
麻の品種は、100種類以上ある。このうち「Cannabis Sativa ssp sativa」や「Cannabis Sativa ssp indica」はTHCの産生量が多く、いわゆるマリファナに分類される。
一方で、THCの産生量が少ない品種はヘンプと呼ばれる。米国やEUではTHCの濃度基準が設けられており、これをパスした品種のみが正規にヘンプとして栽培されている。
米国では、2018年にTHC濃度0.3%未満の麻を産業用のヘンプに指定。今年1月には、濃度基準が1.0%まで引き上げられた。
■日本では部位規制が撤廃へ
日本の現行法では、ヘンプの花穂、葉、未成熟の茎から抽出したCBDは大麻に該当する。また健康食品や化粧品に使用する目的で、国内でヘンプを栽培することはできない。
そのため海外メーカーがヘンプの成熟した茎や種子から抽出したCBDが利用されている。またCBDを含む原料や最終製品を輸入する際には、THCが除去されている事を証明する必要がある。
厚労省は、①大麻草の成熟した茎又は種子から抽出・製造されていることを示す証明書、②分析方法及び検出限界値(LOD)、分析機関・分析実施者の署名入り成分分析書、③原材料となる茎等の全体像、製造に使用した機器が把握できる写真―― の提出を求めている。
ヘンプを巡っては、今年に入り法改正に向けた動きも活発化している。
厚労省は、5月14日の「大麻等の薬物対策のあり方検討会」にて、現行の大麻取締法の規制を見直し、抽出部位ではなく、THCの有無を基準とする方針を示した。
これは、葉や花穂にはTHCが多量に含まれており、抽出部位を確認する際に、THCの含有の有無を判断基準としている実態を反映したもの。
そもそもCBDの含量が少ない茎だけを確保することは非合理的で、生産コストの上昇にも繋がっており、部位ではなく成分に着目した規制を求める声は少なくなかった。今回の動きを歓迎するメーカーは多い。
また検討会では、大麻に含まれるカンナビノイドを用いた大麻系医薬品の規制緩和にも言及。難治性てんかん薬『エピディオレックス』の使用やカンナビノイド類を用いた治験に向けて、法整備を進めていくという。
この目的は、あくまで大麻系医薬品の規制緩和にある。現時点で効果・効能を謳わない範疇のCBDを含む健食や化粧品とは明確に区別されるが今後の医薬品リスト改定には注意を払う必要がある。
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