9月1日、日本抗加齢協会が「免疫関係の機能性表示の科学的根拠に関する考え方について」を発表した。有用とされる免疫指標や臨床試験に関する考え方が示されたが、第一線の食品CROはどうみたか。
今回の発表を受け、免疫関係の受託試験を実施するCRO各社にコメントを聞いた。
「より明確な指標で実現可能であることが示された」「免疫指標における課題、科学的根拠を説明しうる作用機序およびその記載方法など重要ポイントが記載されており、免疫機能表示に関する各種届出において有用な情報ではある」など、今まで手探りであった免疫表示につ
いて一定の道筋が示されたとして概ね好意的な反応を見せている。
今回、有用な免疫指標として挙げられたのが、食細胞活性、NK細胞活性、T細胞(CD4T細胞)増殖性・活性化、分泌型IgA抗体濃度の4 項目。これら以外にも科学的根拠が説明できる指標の使用も構わないとあるが、上記指標を軸に複数の指標での証明が現実的だ。
さらに今回の発表では単一の指標についての記述も。サイトカインなど免疫指標に類似した指標が動き、クリニカルアウトカムが合理的に説明できれば免疫全体を調整していると補足された。
とあるCROでは「食細胞活性が明記され、サイトカインなどが明記されているので試験はしやすくなった」、「血液のみならず唾液、便中などのマーカーを複合的に盛り込んだ評価が想定できる」と踏む。ここに、クリニカルアウトカムが合理的に説明できれば免疫表示の受理が現実味を帯びる。
クリニカルアウトカムについては、「かぜ様症状(発熱や炎症、咳、倦怠感など)が妥当だろう」としている。
その一方で気になるのが免疫指標のカスケードについて。抗加齢協会では「複数の免疫指標が上流から下流に応答し、クリニカルアウトカムと関連していることを科学的に説明する必要がある」とする。
プラズマ乳酸菌は樹状細胞(pDC)からNK細胞、CD8陽性T細胞、CD4陽性T細胞などへ応答すると論拠し、上流にあたるpDCからスタートしているが…
・・・・(中略)・・・・
…こうしたことを踏まえると、やはり、pDC以外の指標を用いた受理が待たれる。
届出を目指す事業者からは「臨床試験を依頼する側としては、より明確な指針が欲しい」と切実な声も。「本来なら消費者庁が率先して行うべきこと。この内容を受け、消費者庁としての見解を待ちたい」とも。
長引くコロナ禍を背景に、大局的な視点で免疫表示の前進を願うのが業界の総意だろう。
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